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 腹の間で揺れながら擦れ合う雄茎と、熱種のたっぷり溜まった嚢。
 荒々しい息遣いが、飛島さんのモノなのか俺のモノなのかも分からない。

「新堂、……新堂」

 掠れた声で囁いて首筋に噛み付いてきた飛島さんが、自分でもよく分からない感情に戸惑っているのが分かって、そんなどうしようもない先輩の背中にそっと手を回して硬めの短い髪を撫でると、駄目犬が甘えるように鼻先を押し付けてきた。

「……やらしー匂い」
「っ、自分だって同じじゃないっすか」
「違う。新堂のは……興奮する」
「あ、ぁッ」

 鎖骨の上に感じる、チリッとした痛み。

「ちょっ、勝手に跡を……!」
「全部、俺のだ」
「んんッ」

 自分では見えないけど、多分、噛み付かれた肌には赤い跡がくっきり残っているんだろう。
 満足げに所有の印を見下ろした先輩は、二人分の先走りに濡れた屹立を握り込んで、腰を動かしながら巧みな手つきでソレを扱き上げてきた。

「い、あぁっ、あッ」

 小さな裂け目から恥ずかしい汁が溢れて、雄の匂いが濃度を増す。飛島さんのソレもグチャグチャに濡れて、熱い。

「すっげ……エロい」
「トビシマさんっ」
「なあ、イク時俺の名前、呼んで」
「……ッん!」
「お前の声聞いて、イクから」

 そうやって雄フェロモン垂れ流しで甘えられるのが一番弱いのに。
 そんな目で、そんな声で。無自覚に俺を落とすんだから、本気でタチが悪い。

 デカい身体を重ねて野郎二人でモノを擦り合ってるなんて、冷静に考えると絶対に興奮出来そうにない状態にも関わらず、俺のソレは痛々しい程張り詰めて浮き上がった血管を脈打たせていた。

「あ……やべ」
「や、も……出るっ、あっ」

 重ね合わされたペニスが震えて、竿の中の狭い管を熱液が勢いよく駆け上がる。

「新堂」
「トビシマ、さん、……うぁッ、あ、…あぁあッ!」
「ッ!」

 同じタイミングで動きを止めた身体が、その瞬間、僅かに筋肉を強張らせて。

「――んっ、んッ!」
「う……っ」

 野生の雄臭さに色気の混じった、この時にしか見る事のない飛島さんの表情に見とれているうちに、二人分の白濁液が勢いよく放たれ、俺の腹にぶちまけられていた。


「すっげー……気持ち良かった」

 脱力してグッタリと覆いかぶさってくるデカい身体に潰されかかって、堪らず背中を叩くが、飛島さんはお構いなしで甘えてくる。

「重いっすよ」
「お、まだピクピクしてんな」
「イッたばっかなのに触んないで下さいって!」

 セクハラ親父化した先輩をベッドの上から突き落としてやろうかと思ったけど暑苦しい腕の中は意外に居心地がよくて、抱き枕になった俺はしばらくその腕に身体を委ね、大人しく抱かれる事にしたのだった。





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