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 自分の手とは全然違う触り方で扱かれて、予想できない動きから与えれる快感に張り詰めたモノがピクピク震え続けていた。

「トビシマさん、もう、離し……っ」
「やだ」
「俺ので、手ぇ汚したいんすか」

 渦巻く射精感に、声が上擦る。何だか自分の声じゃないみたいな、甘く掠れた恥ずかしい声。

 このまま先輩の手で射精するのはマズいと思い、最後は自分で抜くつもりで手を離すように頼んだが、飛島さんは素直に従ってくれそうになかった。

「ココまできて今更だろ」

 確かに今更なんだけど。
 触り合うトコロまではギリギリセーフでも、イカされてしまうのは完全にアウト……的な微妙な俺の心境を察して欲しいというのは、空気の読めないこの先輩には難しい注文だろうか。

「観念して、俺の手でイけよ」

 低い囁き声と同時に竿を根元から絞り上げられて、限界まで張り詰めたモノがドクッと大きく脈打った。

「ッ、う……ンぁ、あぁッ!」
「すっげ、エロい顔」

 そんな事を言っている飛島さんの方が、よっぽどエロい。発情しきった獣のオスの顔をしている。

 俺の手の上から自分の手を重ねて充血した屹立を巧みに追い上げる先輩の姿に、耐えていた射精感が一気に限界点を超えてしまった。

「やっ…ば、ッあ、ぁ、…イクっ、いッ…あぁぁッ!」
「……新堂……っ」

 二匹の獣の咆哮と、一瞬の沈黙の後に漂ってくる強烈なオス臭。

 わざわざ確認してみるまでもなく。
 俺の手は飛島さんのアレで、飛島さんの手は俺のアレでべったり濡れて大変な事になっていた。



「い、イッちゃったっすね」
「だな」

 酔った勢いで、男同士の抜き合いをしてしまった……。というか、ノリノリだったのはインポから復活した飛島さんで、どちらかというと俺は犠牲者なんだけど。

 下半身丸出しで向き合ったまま、お互いにしばし呆然として床を見つめる。

 無我の境地に達してしまいそうな静寂の時間から現実世界に戻ったのは、テーブルの上のすき焼き鍋に気付いた瞬間だった。

「ってか、飛島さん! まさかすき焼きにザーメンぶっかけてないっすよね!?」

 明日卵とじにしようと思っていたのに。何て勿体ない事を!
 飛島汁入りの卵とじ丼なんて、世界に食料がそれしかなかったとしても食べたくない。

「大丈夫。すっげー溜め込んでて濃かったからそこまで飛んでねぇよ」
「聞きたくないですよ、そんな生々しい話は!」
「お前が言い出したんだろーが」



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