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ヤバイ。すげぇ気持ち良かった…。

まだ中に埋められたまま、時折ピクッと震えて萎えていく三澤を感じて、深く息を吐く。

「…また中に出しやがって。最悪だな、お前」
「早く挿れろなんて誘うからだ」
「俺のせいにする気か!手際よくゴムつけて挿れりゃいい話だろうが」
「無理を言うな」

さっきまであんなに節々が鈍い痛みに包まれていた身体から、痛みが引いている。
もしかしたら俺は本当に欲求不満で寝込んでいたんじゃないかと思うほど、気分がスッキリしていた。

「熱は…上がっていないか。どこか痛むところは?」

覗き込んでくる目が優しくて、くすぐったい。
さっきまでの恥態を思い出して堪えられなくなった俺は、プイッと顔を背けた。

「ねぇよ。心配するくらいなら、さっさとこのけったいなモノを抜け」
「減らず口を叩く余裕があれば大丈夫そうだな」

抜け、という言葉を完全に無視して、三澤が頬に額に唇に、擽るようなキスを落としてくる。
こうされると弱い俺は、黙ってそれに任せるしかなかった。

久しぶりに触れ合う肌が気持ちいい。
変な意地を張らずに、もっと早く素直になればよかったな…。
二週間を無駄に過ごしてしまった。

心地よい温もりを感じながらお互い無言で情事後の充実感にひたっていると、突然、枕元の携帯電話が鳴り響いた。

「はい、安藤携帯」

初期設定の呼び出し音は会社からの着信だったので、慌てて電話に出て、ふと、まだ身体の中に三澤が納まったままだという大変な状況に気が付いた。

『お休みのところ申し訳ありません、小杉です』

この状態で最もかかって来てほしくない相手からの電話に、思わず顔が強張ってしまう。
静かな部屋だ。小杉の声は当然三澤の耳にも届いていたらしく、恐る恐る見上げた顔にはニヤリと悪そうな笑みが浮かんでいた。

「ど、どうした」
『グランディオールの見学イベントの件で渠須企画さんからお電話がありまして…。先週の打ち合わせの報告書、どこに保存されてますか?』
「ああ、アレな。……ッ、ん…!」

何の前置きもなしに、深くまで埋まっていたモノをズルッと引き抜かれ、危うく変な声が出そうになったのを何とか堪えて三澤の顔を睨みつける。

…が、そんな牽制が効く相手ではない。

エロオヤジ御曹司は余裕の表情を崩さずにベッド脇のタオルを手に取って俺の下半身へと身体をずらし、何とこの状況で、行為の後始末を始めたのだった。




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