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俺って奴は、本当に考えなしの単純人間だ。
今だって、俺じゃ勃たねぇっていうなら無理にでも勃たせてイカせてやる!と勢いだけで三澤を押し倒す行動に出たものの、具体的に何をしていいのか分からない。
「重いぞ安藤」
「馬鹿言うな。お前より軽い!」
マウントポジションをとったまま、動く事も出来ず馬鹿みたいに固まってしまった俺を、当の三澤は呆れた顔でじっと見上げていた。
「病人が何をするつもりだ」
「イヤ…何って…」
何をするつもりだったのか、俺の方が教えて欲しい。
無理にでも勃たせてやる、なんて意気込んでいたのに、この体勢になって初めて気付いたのだが…
「お前、バリ勃ちじゃねぇか!」
俺が何かを頑張るまでもなく、三澤のソコは既に腰に当たる感触だけで分かる程に育って、逞しくその存在を主張していた。
何で何もしてないのに、こんな凄い事になってるんだ。勃ち過ぎだろ。
しかも、そんなに股間を勃起させながら照れるという事を知らないのか、三澤は堂々とした様子を全く崩さず、むしろ硬さを誇るように腰をクッと動かしてブツを尻に擦りつけてくる。
「何だ、コレが気になっていたのか。お前は本当に俺のモノが好きだな」
「アホか!擦りつけんな、エロオヤジ!」
そこでようやく、自分がTシャツ一枚のフルチン姿で三澤に跨がっているという衝撃の事実に気が付いた。
30過ぎて、チンポ丸出しとは。酷い格好だ…。
慌てて布団を寄せて股間のモノを隠すと、低く笑った三澤の腹筋が震えるのが伝わってきた。
「何だよ、…一人で抜くつもりだったのかよ」
それで、俺を寝かせて部屋を出ていこうとしていたのか。
興奮で僅かに血色が良くなった、生意気な年下の御曹司の顔をじっと覗き込む。
見つめ返してくる三澤の目が、危うい熱を孕んでいて、身体の奥がむずむずと落ち着かなくなった。
「見たかったのか?いい趣味だな」
「そんなワケねぇだろ!」
それはお前の趣味だろうが!
いつもいつも俺に突っ込んだまま“自分でしてみろ”なんて言って恥ずかしい事をさせやがって。
「そうだな。お前がどうしてもと言うならここで…」
「言わねぇよ!変態!」
さっさと出て行って自分の部屋で抜いて来い。
そう言おうと思って、止めた。
「……」
「安藤?」
どうしていつも、下らない年上のプライドに邪魔されて、頑なな態度をとってしまうんだろう。
本当は、一人で部屋に残されたくないくせに。
さっきのだけじゃ物足りなくて、続きをして欲しいと思っているくせに。
ここで素直になれないから、いつまで経っても三澤との距離が縮まらない。
…変な意地を張ったところで、どうせ本心が顔に出ているんだったら同じ事だ。
熱のせいか少しだけ心が柔軟になれる気がして、恐る恐る三澤のパンツに手を伸ばし、ベルトを外してファスナーに手をかけた。
「やっぱり、ここで抜いてけ」
「おい、何を…」
いつも人を小馬鹿にしたような余裕の笑みを浮かべている生意気な御曹司が、珍しく慌てた様子でその手を止めようと邪魔してきたが、勢いに任せて下着ごと、一気に引き下ろしてやった。
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