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それは低い静かな声で、背筋をひやりとさせるような妙な迫力があった。
真っすぐに俺を見下ろす鋭い視線が、身体中に突き刺さって痛いくらいだ。

「な、何もない」

自分より一回り以上年下の男に気圧されるなんて情けないが、実際怖いんだから仕方ない。
小さなため息の音と共に、額を覆っていたタオルが剥ぎ取られてしまった。

「嘘をつくな。お前は隠し事をする時すぐに目が泳ぐ」
「……」

ギシッ…とスプリングの軋む音に顔を上げる。
気付くと三澤が片手を俺の顔の横につき、覆いかぶさるようにしてベッドの上に身体を乗せてきていた。

「小杉と言ったな。あのインチキ臭い部下にケツを触られたのか」
「イヤ、触るっていうか…」

いつもよりワントーン低い三澤の声に、身体が硬直してしまう。

“爽やか王子様系”だなんて女性陣に騒がれる小杉も、三澤にかかればインチキ臭いの一言で切り捨てられるらしい。

と、全然関係ない事に意識が飛んだ瞬間。

「――オイ!何しやがる!」

いつの間にか布団の中に入り込んできた不埒な手にTシャツをめくり上げられ、寝間着代わりに着ていたスウェットの下を引き下ろされてしまった。

「言え。どこをどんな風に触られた」
「止めろ、馬鹿!俺は病人だぞ」
「このいやらしい身体を、あんな男に簡単に許したのか」

ただすれ違いざまにモミモミッと揉まれただけだっつーの。
わざわざそんなエロい言い方をするな!このエロオヤジ御曹司が!

言いたい事は山ほどあったが、言葉は全て三澤の唇に呑まれてしまった。

「んんッ、…ふ」

昨日玄関先で軽く触れただけのお子様キスじゃない、噛み付くようなディープキス。
図々しく下着まで引き下ろしてきたその手が、怪しい動きで尻を撫で回し、ギュッと肉を掴んでくる。

ヤバい。

まさか風邪で寝込んでいる状態で、そんな気になるはずがないと思っていたのに…。

「んッ…う、ぁ」

激しいキスの合間に、甘い声が零れ落ちる。
熱で溶かされて柔らかくなった身体の中で、ただ一点。下半身のその部分だけが、元気よく硬度を高めてグンと反り返りつつあった。

「相変わらず感じやすい身体だな」
「や、めろって…」

ていうか、お前ケツ揉み過ぎ!

「この身体に、何をされた?」
「…何もされてねぇっつってんだろ」
「嘘だな」

言った瞬間に、痛いくらいケツをギュッと揉まれて、涙目になった。
そんなに痛い思いをしたのに、全く萎える気配もなく勃起したままの恥知らずなペニスが憎い。

「ネクタイでお前のいやらしいモノの根元を縛って、シャツの上から腫れるまで乳首を舐めたりしたんじゃないのか」
「アホか!!神聖な会社で誰がそんな事をするか!」

普通なら思いつきもしないであろうそんな事を簡単に口にするなんて。
絶対三澤にはそういう願望があるに違いないと俺は思った。

コイツが社会人になったら、いかにもやりそうだもんな。そういうプレイ。




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