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あのクソガキ御曹司め…。
まさか自分でそんな所に指を入れる事もできなくて、お陰で抜くどころか、かえってムラムラ溜まりっぱなしだ。

思い出しただけで腹が立ち険しい表情になってしまった俺の前で、小杉は相変わらずニコニコと邪気のない笑みを浮かべていた。

「――前だけじゃイケない身体になっちゃったのに、最近放置されっぱなしでムラムラする…といったところですかね」
「なっ…!」

ふんわり柔らかい雰囲気の部下の口から飛び出したとんでもない言葉に俺は自分の耳を疑った。
前だけじゃイケないって…!

「そんな事まで俺の顔に書いてあんのかよ!?」
「書いてませんよ。言ってみただけです」
「…!」

もう、口をパクパクさせるしかない。
前々から食えない奴だとは思っていたが…何て野郎だ。

自ら赤裸々な性生活の悩みを告白してしまったも同然のこの流れに、身体中の血が沸騰しそうな程熱くなった。

「本当に分かりやす過ぎです」
「会社で何て話をしやがるんだ、お前は!」

怒鳴られているにも関わらずふふ、と柔らかい低音で笑う部下を睨む目は、恥ずかしさのあまり涙目になっているかもしれない。
こんなオッサンのそんな話を聞いて楽しいか!と言いたかったが、実際に小杉が楽しそうに笑っているのを見ると何も言う気がしなくなった。

「安藤課長は…見た目とのギャップが堪りませんね」
「あぁ?」

もうとにかく早くこの場から離れてしまいたくて、さっきまで帰りたくないと思っていた事も忘れ、ササッと帰り支度を済ませて立ち上がる。
小杉はそんな俺の様子を楽しむような視線を投げ掛けながら言葉を続けた。

「だってそうでしょう。男らしくてカッコよくて、社内には課長狙いの女子職員が腐るほど溢れてて…」
「……」

何だよ。急にそんなに褒めやがって。
怒っていたはずなのに、どんな反応をしていいのか分からなくなる。
…イヤ、待てよ。
ギャップというからにはこの後どーんと落とされるんじゃねぇだろうな。

「それなのに話してみると実は結構うっかりさんだったりするし。何を考えているかすぐ顔に出ちゃって、しかも意外に恋愛下手で鈍感で」
「…お前、俺が直属の上司だって分かっててソレを言ってるんだろうな」
「可愛くて放っておけない気がするんですよ」
「か、可愛い…!?」




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