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知らなかった…出会い目的の酒場がそんな危険地帯だったなんて。

あんなにムキムキした男が3人で絡んできたら、抵抗なんて出来ないだろう。
まさか…本当にヤられちゃったりするんだろうか。

突然のピンチに落ち着きをなくした俺を横目で見ながら、その男はニヤッと笑って耳元に顔を寄せ、身体の芯をくすぐるような魅惑の重低音で囁きかけてきた。

「その様子だとオトコは全くの未経験か」
「っ!ちょっと…、顔、近付けるのやめて下さいよ…」

もしこれが脂ぎった酒臭いオヤジなら不愉快極まりないはずなのに、こんなイイ男が相手だと変に胸がドキドキしてしまうんだから。セクハラかどうかは相手次第だとはよく言ったモノだ。

…などと、全然関係ない方向に飛んだ意識を、男の甘い声がまた現実に引き戻す。

「可哀相にな」
「えっ?」

“可哀相”の意味が分からずに顔を男の方に向けると、吐息がかかりそうな距離にまで近付いた唇が、世にも恐ろしい言葉を紡ぎ出した。

「初体験の相手があんな奴らで、身体中ベロベロ舐め回された揚句、ロクに慣らしもしないで無理矢理上から下から汚いモノを突っ込まれて交互にヤられるのか」

上から下から!?…交互に!

「明日が土曜日なのがせめてもの救いだな。2、3日はマトモに歩けないぞ」
「えぇぇっ!」
「運が悪ければハメ撮りされた映像をゲイサイトに流されて、業界の人気者になるかもな」
「ひぃぃい!」

この男。
見ているだけで腰がトロトロに溶けそうな甘い笑顔で、とんでもなく怖い事を言う。
しかも、キリッと男らしいその目が明らかにこの状況を楽しんでいる様子が見てとれた。

残り少ない琥珀色の液体を飲み干して空のグラスを置き、男がカウンターの中のバーテンダーに声をかける。

「か、帰るんですか?」
「ああ。人生初のハッテン場をゆっくり楽しめよ、坊や」
「待って下さい…!」

坊やと呼ばれて怒る余裕ももう俺には残されていない。

出されたばかりのグラスにはまだ半分以上ビールが残っていたけど、慌ててそれを飲み干し、お釣りも貰わずに会計を済ませると、男の後に続いて店を出た。


それが、どんなに愚かな行動だったか。
数時間後俺は、自分の身体で嫌という程実感させられる羽目になる。





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