■ 営業一課 ■



「やっと…数え終わったっス!」
「よく頑張ったな、松崎」
「しゅにーんっ!張り切って結果を発表するっスよ」


「池さん、どっちが勝っても恨みっこなしな!」
「…そもそもこの企画自体に恨みしかないから」


「それでは皆さんお待ちかね、バレンタイン勝負の結果は……ダラララララダ、ダ…噛んだっス!」
「松崎、ドラム音はいいから早く教えてやれ」

「獲得したチョコは…

外岡さん 804個、
池原さん 737個!

勝者は…外岡さん〜っ!」


「おー、やったな外」
「勝者には仲山主任からデート費用の援助があるっス!」


「勝った…!俺、池さんに勝ったんだよな!?」
「外岡さん、おめでとうございますっ」
「負けた…外さんに…」
「諦めろ池、今回ばかりは仕方ねぇだろ」


「司会進行はここで退席するので、あとは若いお二人でお話するといいっスよ〜」
「よし、帰りに何か美味いモノでも食ってかえるか」
「主任っ、どこまでもついて行くっス!」


「…若いお二人って…」
「…松崎の方が若いのに…」
「……」
「……」
「それにしても凄ぇ数のチョコだなー」
「ああ。何だか今年は凄かったな」
「通りすがりの学生さんとか、全然取引先じゃない会社のOLさんとか、魅惑の人妻までチョコを渡しに来てくれるなんてなー。俺、モテる男に生まれてきてよかった!」
「思いっきり“義理チョコ”受付窓口って書いてあるだろ」
「つか、メッセージカードとかもすごくね?」
「人の話を聞けよ、外さん」


「応援メッセージとか…みんな優しいなー!」
「っていうか、外さんのメッセージ、ひたすら池子池子書いてるじゃねーか」
「まれに褌へのラブメッセージとかもあるけどほとんど池子狙いだな」
「外さんがモテてるってワケじゃないだろ。“本当は池原さんが好き”とかモロに書いてあるし」
「……」
「外さん…?」
「…いいんだ、同情チョコでもっ」
「げっ、泣くなよ!」
「だって、安藤さんのクリスマス企画の時も俺だけ断トツで最下位だったし…、今回くらいは池さんに勝ちたかったんだ!」
「悪かった、よく分からないけど俺が悪かったから」
「それに俺…、池子に会えれば何でもいいし!」
「その情熱、他に回せよ」


○●○


「メッセージはこれで全部読み終わったな。こんなに沢山…嬉しいモノだな」
「ん!チョコはこれから少しずつ食べていこーぜ」
「…読み終わって思ったんだけど」
「何だよ池さん」
「俺たちまさか、ホモカップルみたいに見られてないよな?」
「うわ、気持ち悪いコト言うなよ」
「何やらそういった方向に熱烈な応援メッセージがちらほらあってさ」
「……」
「……」
「ごめん、俺、池さんの事そういう目で見れないから」
「イヤ、俺もだし。っていうか何でそこで謝るんだよ!?俺がフラれたみたいな流れになるじゃねーか」
「俺の事は忘れて新しい恋を見つけてくれ」
「ふざけんなよ外さん?笑えない冗談というモノが…」
「ごめんなさい調子に乗りました!」


「とにかく、デートの手配は松崎がやたら張り切ってたから任せるとして…」
「いけこデート…っ」
「まったく…。そんな嬉しそうな顔してるけどな、“池子”だっていい加減イイ年して写真と変わってるかもしれないんだから期待するなよ」
「ん。…池さん、俺さー」
「うん?」
「人間の優しさを今、しみじみ実感してる!」
「…よかったな、外さん。頑張れよ。…イヤ、あまり頑張るなよ」
「撫でるなよ、セット崩れるじゃねーか」
「セットしてるのか、その坊主頭」
「そんな事より!まずはチョコをくれた皆さんに御礼だな!」
「そうだな」


義理チョコを贈って下さった皆さま、本当にありがとうございました!



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