04:30


ふと目が覚めて窓の外に目をやると辺りはまだ暗かった。
時計の針は午前4時30分を指している。


「朝かと思ったらまだ明け方か…。」


起きるのには早すぎると判断した私はまた布団に包まった。
でも目が覚めてしまったのか、一向に眠気が来ない。
目を瞑ってみても眠気が来るどころか、来週に迫った壁外調査の事ばかりが頭に浮かぶ。
どれだけの犠牲者が出るんだろうとか、自分はちゃんと仲間を守れるのかとか…。
もう何度も壁外調査に出ているのに、毎回不安は募って消えてはくれない。


辺りの静寂が余計に私を不安にさせた。


そんな事を考えていたら無性にリヴァイに会いたくなった。
こういう時はいつもリヴァイに会いたくなる。


(まだ絶対に寝てるだろうけど、ベッドにこっそり忍び込むだけなら大丈夫よね。)


そう思った私は、善は急げと言わんばかりに自室を後にした。




いつもはみんなの姿で賑やかな廊下も食堂も、もちろん誰1人と居なかった。
人の気配すらも感じない。
こんな時間なんだから当たり前なんだけれど、寂しくなり静寂から逃げる様にリヴァイの元へと急いだ。






リヴァイの部屋の前まで来た私は少し緊張していた。


(起こして蹴りとか入れられたらどうしよう…。)


ここまで来て彼の寝起きの悪さを思い出していた。さすがにこんな時間に訪ねるのはかなり非常識だとは思うが、拒絶されたらと思うと少し怖い。


(どうかリヴァイが起きませんように。)


覚悟を決めた私は静かにドアノブを回した。
部屋に入ると規則正しい寝息を立てているリヴァイがいた。


(ほんとに寝顔だけは可愛いな。)


普段の不機嫌顔からは想像できないほどに、寝顔は無防備で可愛いなと彼の寝顔を見るたびに思う。


ゆっくり布団を捲ってベットに入る。
身体をぴったりくっ付けるとリヴァイの体温が私を安心させた。
もうこの体温に何度安心させられたんだろう。
願わくばこの温もりをずっと失いたくないと思う。
私はリヴァイの体に手をまわしぎゅっと抱きしめた。


「どうした名前。」
「寝てたんじゃなかったの?」
「気付くに決まってんだろうが。」
「…ごめんなさい。」


こっそり忍び込んだつもりだったけど、どうやらリヴァイにはバレていた様だ。
でも問いかける声は優しかった。


「眠れねーのか。」
「そうだったけど、今眠くなってきた。」
「そうか。」


リヴァイは一言そう呟くと、私の方を向きそれ以上は何も聞かずに髪を梳いて、額にキスを落としてくれた。
こんな時間に来たのに怒らないなんて、珍しいこともあるもんだ。
このままリヴァイの隣で朝を迎えようと、まどろむ意識の中で思った。



 
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