私の日常


「今度こそはぜーーったいに許さない!!私は巨人実験の道具じゃないんだからぁーっ!!」

そう言って隣で瞳をキラキラさせている超が付くほどのマッドサイエンティストに叫んでやった。

「いやぁーごめんね名前。良い実験結果が得られそうだったから。」
「私が巨人に食べられそうになっただけじゃないっ!!なーにが良い実験結果よっ!!」


悪びれることも無く言うコイツはハンジ。そしてここはハンジの研究室だ。あろう事かハンジはあたしを巨人の顔の前に思いっきり突き出しやがった!!ほんとにあと1歩で喰われる寸前だった。
何の実験よっ!!このド変態めっ!!



ハンジとは訓練兵団からの同期で腐れ縁。気づけば同期はかなり減り、私達は分隊長になっていた。

「名前が元気無さそうだったから、一緒に巨人の実験でもしたら元気が出ると思ったんだ。」
価値観の違いって怖いっ。巨人の実験で元気が出る変態はあなたぐらいですよハンジ分隊長。


「元気なく無いし、巨人と戯れても私の元気は出ません!!」
「えーっ。エルヴィンに妹みたいって言われて落ち込んでたくせにぃー。」


コイツ何でそれを知っている。覗いてたなこの野郎。
ええそーですよ。密かに想いを寄せるエルヴィンには妹の様としか思われてませんよ。万年片想いですよー。


「まぁまぁ元気出して。私は名前のなかなか素直になれない所とか可愛いと思うけど。」
言われ慣れない可愛いという言葉に不覚にも頬が赤くなるのを感じる。相手はハンジなのに。


「な、何よいきなり。」
「別にいつも思ってることを言っただけだよ。それより次はどんな実験をしようか!?今度は日光を遮断してみる!?それとも他に急所が無いか試してみる!?」



私の動揺とは裏腹に、実験について熱く語り続けているハンジ。
そう言えば私が落ち込んでる時はいつも以上に鬱陶しく絡みにくるな。ただの巨人バカじゃなくてハンジなりに気にかけてくれてるのかな。
そう考えると目の前のド変態ハンジがいつもより少しだけ愛おしく思えた。



「あと1時間ぐらいだったら実験に付き合ってもいいけど。」
「ほんとに!?やったぁー!!せっかくだしリヴァイにも実験見せてあげようかなー。」
ハンジの嬉しそうな顔に自然と私の顔も綻ぶ。



調査兵団は、死と隣り合わせの日々でいつでも人手不足。
そんな毎日だけど、ハンジのいる賑やかな日常はそんなに悪くないなと思った。

 
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