君といる世界はあまりにも眩しくて


今日も我が家はとっても賑やかです。
幼い子供が3人もいる家庭が静かなわけがないとは思うけど、今日の騒がしさはいつも以上…。どうしてこんなに騒がしいのかと言うと、それは家に遊びに来ているある人物に子供達が大興奮しているからで…。


「ハンジぃーっ!!おんぶしろぉーっ!!」
「だっこぉーっ!!だっこぉーっ!!」


そう力の限りに叫んでいるのは、我が家の可愛い5歳の長男と3歳の次男。この2人はハンジの事が大好きで、たまに遊びに来てくれるハンジに付きまとっては、こうしておんぶやだっこをねだってる。


「ええーっ!?2人同時は無理だよーっ!!私は頭脳派であんまり筋肉無いんだから。」
「ずのうって何だよこのぐずーっ!!」
「こらっ!人に向かって愚図とか言っちゃダメでしょ!そんな言葉どこで覚えてくるの。」


と長男を叱った瞬間に私の頭に浮かんだのは、夫であるリヴァイがハンジを愚図と罵る姿。うん、間違いない。絶対にリヴァイの影響だ。
そう思ったのは私だけじゃなかったみたいで…。


「ねぇ、名前。ところでリヴァイは何してるの?さっきから全然姿を見ないけど…。」
「リヴァイなら1番下の子をお風呂に入れてくれてるよ。」
「ええーっ!?あのリヴァイが!?それすっごく見たいっ!!」


驚くハンジは今まで知らなかったみたいだけど、何故か長男の時から子供達をお風呂に入れるのはリヴァイの仕事だった。
仕事というよりかは掃除好きのリヴァイにとっては趣味みたいなもので、私が頼んだりする訳でもなく自分から子供達をお風呂に入れては、隅々まで身体を綺麗にすることを楽しんでいるようだった。

「じゃあ、ちょっと見に行こっか。」

そうして私とハンジ、それから私達についてきた長男と次男は、1ヶ月になる娘を沐浴中のリヴァイの姿を覗きにお風呂場へ。


「見て、ハンジ。あのリヴァイの嬉しそうな顔。」
「ほんとだね。あれは掃除を楽しんでる時と同じ表情だね。」


ベビーバスで気持ち良さそうに目を閉じている娘を、丁寧に洗いながら嬉しそうな表情を浮かべるリヴァイは、きっと世間のイメージしてるリヴァイ兵士長とはかけ離れてるんだろうな。
そう思うと可笑しくて笑ってしまう。


「…お前ら何しに来た?」
「あっ、バレちゃった。」
「リヴァイ!それ私にもやらせてよ!やってみたいっ!!」
「ふざけんなクソ眼鏡。」


リヴァイがそう言うと、長男と次男は「くそめがねぇーっ!」とやっぱりリヴァイのマネ。また余計な言葉を覚えちゃうと思うと少し頭が痛い。


「もう、リヴァイ。子供達の前でそういうこと言わないで。」
「フン。邪魔しに来たお前らが悪い。」
「ママぁーっ!!ぼくもおふろはいるーっ!!」
「ぼくもーっ!!」


見ると長男はもう自分で服を脱ぎ始めていて、そんなお兄ちゃんをみた3歳の次男も、早く脱がせてと言わんばかりに両手を上げて待っている。


「また夜にパパと一緒に入ろ?だから今はちゃんと服着とこうね。」
「いやだぁーっ!!いまハンジとママといっしょにはいるっ!!」


長男のこの発言に私はびっくりさせられた。ハンジとママとって…。そこはパパとママとでしょ。


「あのね、ハンジとママは一緒にお風呂に入れないの。」
「…なんで…?」
「パパが泣いちゃうから。」
「泣くわけねぇだろ。名前、そいつらに変なこと言うんじゃねぇ。」


もう、だったらリヴァイからちゃんと子供達に説明してよ。このどうしようもない大人の事情を何て説明すれば良いのか…。


「ママのばかぁーっ!!」


考え込む私にそう叫んだ長男は、泣きながら走ってお風呂場を飛び出した。それも全裸で…。


「ハンジ!捕まえてっ!」
「ええーっ!?私っ!?あんなすばしっこいの無理だよ!」
「良いから早くっ!」


言いながら、私はお兄ちゃんを見て同じように泣き出した次男を抱き上げる。「お前らうるせぇな。こいつが起きちまうだろ。」とこの状況でもリヴァイだけは、娘の身体をタオルで拭きながら毅然としてる。

念願の娘が可愛くて仕方ないのは良いけど、うちにはあと2人やんちゃ坊主がいるんですからね!!


「名前ーっ!捕まらないーっ!助けてぇーっ!」
「分かった!今行くからっ!」


この子のこと頼んだからねとリヴァイに次男を預け、長男の抜け殻のような服を掴んで私はお風呂場を飛び出した。

繰り返します。今日も我が家は、うるさいぐらいにとってもとっても賑やかです。

 
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