ウタタネ おまけ話


次の日


「名前おはよーっ!昨日どうだったの!?」
「…すっごく幸せだった。」


昨日の幸せの余韻がまだまだ継続中の私は、自分の素直な気持ちをペトラに報告した。昨日は本当に幸せ過ぎて、今でも夢だったんじゃないかと疑ってしまうぐらい…。


「そうなの!?良かったわね。あの下着は役に立った?」
「ううん。あの下着はちゃんと着けて行ったけど、出番は無かったよ。」
「えーっ!?そうなの?絶対そういう事になってると思ったけど、意外だわ。」


ペトラはよっぽど意外だったのか、すごく驚いた顔をしてる。私もそうなると思ってたけど、兵長って意外と紳士的な一面もあるんだなぁ。昨日は惚れ直しちゃったなぁ。


「ちょっと名前!何1人でニヤついてんのよ!ちゃんと昨日のこと詳しく話なさい!」
「えへへ〜。うん。兵長がこうやってギュッて…」
「おいお前ら、下着って何の事だ?」


突然聞こえてきたその声に反応して後ろを振り返ると、そこにはまさかの兵長の姿が…っ!
完全にのぼせながら身振り手振りを交えて説明していた私は、一気に血の気が引いていく心地がした。


(うわぁぁっ!下着のこと聞かれたぁ!!)


どうしよう!?何て答えよう!?まさか、昨日は実は勝負下着だったんですなんて口が裂けても言えない!


「名前ってば昨日、兵長とデートだってすっごく喜んじゃって、白のレースの勝負下着を身に着けてたんですっ!」
「ペトラぁぁぁっ!?」
「…そういう事か。」


何故か驚いたりはせずに、納得した表情の兵長。これも大人の余裕ってやつですか!?
私はもう恥ずかし過ぎて、今すぐに逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。


「おい名前、お前昨日あんなに緊張してたくせに本当はやる気まんまんだったんだな。気付いてやれなくて悪かったな。」
「ち、違いますっ!違いますからぁぁっ!」


兵長は昨日、一緒に紅茶を飲んでいた時の様に少し意地悪な笑みを口元に浮かべてる。また面白がられてるっ!
それに…やる気まんまんだなんて違いますーっ!私はもうキスまでで、いっぱいいっぱいだったんですーっ!


「名前、次もその白のレースで来い。似合ってるか確かめてやる。」
「ええっ!?ちょっ、兵長!?」
「じゃあな。」


自分の言いたいことだけ言って、スタスタとどこかに行ってしまった兵長。まだ誤解が解けてないのにっ!
「良かったじゃない名前!」と隣で意味不明なことを言うペトラをよそに、私は恥ずかしさで爆発してしまいそうだった。


(次こそ大人の階段のぼっちゃうの!?私!?)

 
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