お互い苦労しますね。


「名前ー!お願いだから一緒に探してよー!あんなの書き直してたらソニーとビーンと遊べないよ!」
「ハンジ分隊長、またですか!?もう何度目ですか!?」


ハンジ班である私の毎日は騒がしい。騒がしすぎる。
また分隊長が提出期限間際の報告書を失くしたらしい。もうこれで何回目かも分からない…。

(何回無くしたら懲りるんですか分隊長!)


「ハンジ分隊長!私も一緒に探したいのですが、あいにく私は今から立体機動の訓練があるのです。」
「うわあああああああ。名前の薄情者ーっ!」
「泣いてもダメですよ!」


あーうるさいうるさい!
私は両耳に手をあてて、ちょっときつ目にハンジ分隊長に言ってやった。

(そろそろ懲りてもらわないと。)

うな垂れるハンジ分隊長にさらなる説教をしようと思い口を開きかけたその時…


「ハンジ分隊長失礼します。」


同じハンジ班である頼れるモブリットがやってきた!

(モブリット!ナイスタイミング!)

「え…。この状況は一体…」
「モブリット!後はよろしく!」
「名前…これはまさか…。」
「多分それで合ってる!じゃあねー!」


さっすがはモブリット!伊達にハンジ班じゃない。あの一瞬で状況を把握するなんて、素晴らしい!素晴らしすぎる兵士です!


ハンジ分隊長から解放され気分を良くした私はルンルンとスキップをしていた。
すると最近噂のリヴァイ班のエレン君がお盆を手にオロオロしている所に遭遇した。

「エレンくーん!どうしたの?」
「名前さん。実は兵長にお茶を煎れるように言われたんですけど、さっきオルオさんからも呼ばれて…。」


(はっはーん。なるほどね。)

リヴァイ班であるエレン君は兵長やオルオから雑用までさせられて大変なんだな。

「お互い大変な上司を持ちましたなぁ。」
エレン君の肩に手を置き噛みしめる様に私は言った。

エレン君は何だかきょとんとこっちを見ている。

(この子可愛いな。)

私やペトラやオルオも新兵の時はこんなに可愛げがあったのかな。

「私がそのお茶兵長に持って行ってあげる!エレン君はオルオの所に行っておいで。」
「良いんですか!?」
「当たり前じゃない!任せなさい!あと、もしもオルオに虐められたら、『オルオさん兵長の様に素敵ですね。立ち振る舞いがそっくりです。』とか適当に言っといたら大丈夫だから。」
「名前さん、ありがとうございます!」


私にお盆を渡して走り去るエレン君。


リヴァイ班もなかなか大変なご様子である。


(私もさっさと兵長にお茶を出して、訓練に行かなきゃ!)


エレン君を見送って、私はリヴァイ兵長の部屋を目指した。でもまさか、気軽に引き受けたこの仕事が後にあんな事になるなんてこの時の私はまだ知る由もない。


[back to top]