研究者の憂鬱


最近、名前があまり構ってくれない。
私にはそれが寂しくてしょうがなかった。前は部屋を散らかしたら、説教の後に一緒に片付けてくれたのに…。

「分隊長!何ですかこの部屋は!足の踏み場が無いじゃないですか!」
「気付いたらこうなってたんだ…。」

名前に怒られるのはけっこう好きだなんて、もしかしたら私はマゾヒストなのかもしれないな。

「何笑ってるんですか!?私は怒ってるんですよ!」
「うん、ごめんね名前!次からは気をつけるから!」
「分かりました。今日中に片付けといて下さいね。」

それだけ言って部屋を出て行こうとする名前。え?もう説教終わり!?一緒に片付けてくれないの!?いくら何でもあっさりしすぎだよ!

「名前が一緒に片付けてくれたら嬉しいのになぁ〜なんて…。」
「それは無理です!私は今からリヴァイ兵長にお茶を淹れに行きますので。」
「そんなぁーっ!!」

またリヴァイだ。この前もリヴァイにお茶を淹れるって理由で一緒に片付けてくれなかった!

「それじゃあハンジ分隊長、また後でちゃんと片付いてるかチェックしに来ますからね。」
「名前ー!!」

腹の底から声を出して叫んだのに、名前は振り向きもせずに出て行った。そもそもどうして名前なんだよ…。リヴァイなんて昔から女にモテるんだから、名前以外の女の子にお茶を淹れてもらったら良いのに!自分の班に入れられないからって、まさかリヴァイがこんな方法で私の可愛い名前に近づいてくるなんて、予想外だった!

「くそ…リヴァイのやつ…。」
「ハンジ分隊長ー!…あれ、まだ片付け始めてない。」

悔しくて床にうずくまる私の前に現れたのは、手にティーカップとお菓子を持った名前だった。私がちゃんと片付けてるか確認しに来たんだろうな。

「今からやろうと思ってたところなんだ!だから名前も安心してそれ早くリヴァイに持って行ってあげなよ。」
「これはハンジ分隊長に持って来たんですよ。糖分補給して片付け頑張ってもらおうと思って。」

さっきまであんなに怒ってたのに、リヴァイじゃなくて私の為にお茶を淹れてくれたなんて…夢かと思った。

「…え?本当に私に…?」
「はい。」
「名前ー!!好きだぁーっ!!」
「ぎゃー!こぼれるーっ!」

嬉しくて私は名前に抱きついた。どんなにリヴァイが名前を気に入っても、絶対にこの子は未来永劫、私の班員だから!絶対に離さないからね、名前!

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