ハローハロー!
「はぁ〜。」
今日はハンジ分隊長の実験に付き合う予定なのに、昨日のリヴァイ兵長との顔超至近距離事件のせいであんまり眠れなかった。
昨日、兵長の部屋で座り込んだ私は、何とか力を振り絞っては立ち上がり兵長の部屋から逃げる様に出てきたけど、兵長のドアップを思い出す度にまだドキドキする。
寝不足で体はだるいし、気を抜くとすぐに兵長の顔が頭に過るしと、ハンジ分隊長の実験に付き合わなきゃいけないのに私のコンディションは最悪だった。
「はぁ〜〜。」
「おい名前!何回ため息ついてるんだよ。気合い入れないとこの実験で死ぬぞ。」
「分かってるよモブリット。ねぇ、私寝不足だから病欠の適応にならないかな?」
「なるわけないだろ!」
何よモブリットの石頭ぁー!そんな目を向いて怒らなくても良いのに。
きっとこれからハンジ分隊長にどんなことをさせられるか分からないから精神不安定なんだな。可哀想な男ね、モブリット。
「おい名前、来たぞ。」
私を肘で小突きながら言うモブリットの視線の先に目をやると、満面の笑みでスキップをしながらこっちに向かって来るハンジ分隊長が見えた。
「みんなー!揃ってるかなー?早速始めるよー!」
眼鏡越しでもハンジ分隊長の瞳がギラギラしているのがよく分かる。怖い、怖すぎる。
正直この場から逃げたくて仕方がない。
「じゃあまずはソニーとビーンに挨拶をしてもらうから、名前出てきてっ!」
「うわぁー!いきなりご指名されたよモブリットーっ!助けて!」
「残念なことに俺にできることは何もない。死んでこ…行ってこい名前。」
モブリットの薄情者ー!いきなり指名されるなんて最悪だぁー!しかも今絶対死んでこいって言いかけたぁー!
…いや待てよ。分隊長は挨拶って言った。確かに言った。
遠くから「ソニーさんビーンさんちわーっす!」って感じで済むんじゃない?
うんだって挨拶だもの!
「名前早く出てきて!」
「はーいっ!」
分隊長に急かされた私はいそいそと巨人達の前に立った。もちろん巨人達との距離は50m以上の安全地帯!
「名前そんな遠くじゃ2人に聞こえないからダメだよ。それにちゃんと握手もしないと。」
「えっ!?」
そう言って分隊長が私の肩をぐいぐい押すもんだから巨人達との距離はジリジリと縮まる。
「名前ー!!」
モブリットが私を呼ぶのが聞こえる。叫んでないで助けてよ!
このままじゃ本当にまずい!何とかするんだ私ーっ!!
「あっ!ハンジ分隊長!急用を思い出しましたっ!」
「どうしたの?」
「今日はまだリヴァイ兵長にお茶を出していません!すぐに出しに行かないと!」
「あぁ。それなら安心して良いよ。」
「へっ?」
「リヴァイは今日、エルヴィンと会議で出かけてるから夜の10時ぐらいまで帰らないよ。」
「え?」
(終わった。)
この後、私の断末魔を皮切りに他の団員達の叫び声が途切れなかったのは言うまでもない。
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