すっぴんですが!?


やって来たのはペトラの部屋だった。
久しぶりに来たけど、ペトラの部屋は女の子っぽくってやっぱり可愛い。同じ女子なのにこの女子力の違いは何なんだ。


「で、兵長とはどうなのよ?」
「へっ?何が?」
「とぼけても無駄よ名前。兵長とデキてるんでしょ?」
「はぁ!?何でそうなるの!?」


ペトラが突然、真顔でとんでもないことを言い出すから飲みかけの紅茶が危うく口から出そうになった。
私が兵長とデキてる?あの兵長と…?ないないないない!ていうか兵長に失礼だから!


「えっ違うの?てっきりそうだと思ってた。名前がお茶を淹れるようになってから兵長の機嫌が良い日が増えたし。…まさか兵長の一方通行?」
「兵長の機嫌と私は関係ないと思うけどなぁ。」
「で、名前はどうなの?兵長と一緒にいる時どんな感じなのよ?」
「えーどんな感じって言われても、ドキドキしたりヒヤヒヤしたり忙しい感じだけど…。」


これは私の本音だった。
最近、兵長と一緒にいると何故か心臓がドキドキしたり、また怒られるかもと思うと今度はヒヤヒヤしたりと忙しい。
私はそのことをペトラに素直に話した。本音を言える同期って素晴らしい!


「兵長と一緒にいると心臓がドキドキするの?」
「…うん。」
「どうして?」
「うーん。それが分からないんだ。」
「はぁ〜もう名前あんたってば…。」


ペトラのため息はかなり盛大だった。
でも分からないものは分からないんだもん!


「名前、とりあえずあんたもうちょっとちゃんと化粧とかしなさい!それほぼすっぴんでしょ?」
「え…?うんそうだけど。だって朝はギリギリまで寝てたいんだもん。ハンジ分隊長のお世話で毎日クタクタだし。」
「言い訳しない!あんた元は良いんだから。ちょっと顔貸しなさい。」
「えっ!?ペトラ?何!?」


私に顔を貸せと言ったペトラは素早い手つきで私の顔に化粧をし始めた。


(何でこんなことに!?)


「いやだー!似合わないもん!」
「うるさい!こうでもしないとあんたの女性ホルモン活性化しなさそうなんだから!」
「女性ホルモンって何の話よぉー!?」


抵抗しても無駄だと悟った私は、それから数分間黙ってペトラのされるがままだった。
そういえばちゃんとお化粧とかしたことないな。
だってすぐ汗で取れるし!ハンジ分隊長のせいで変な汗が出ることよくあるし!


「よしこれでOK!ちょっと鏡見てみなさい。」
「えー。似合ってなかったらどうしよう。」
「ごちゃごちゃ言わずに見るっ!」
「ぎゃっ!?乱暴はやめてぇー!」


私の言葉も虚しくペトラによって無理やり鏡の方に向かされた。


「え…?別人みたい。ちょっとお化粧するだけでこんなに変わるの?」


鏡に映った自分はいつもの疲れた顔じゃなく、顔色も良いしなんかまつ毛も長くなった気がした。


「そうよ。これからは毎日ちゃんとお化粧もして女性ホルモンを活性化させなさい。」
「でも周りから見たら変じゃないかな…?」
「まだ言うか。じゃあちょっと一緒に来て。」
「えっ!?どこ行くの?ペトラさん!?」


私の腕を引っ張ってペトラはどこかに向かって足早に歩きだした。


(一体どこに連れて行かれるんだぁー!!)


[back to top]