リヴァイさんは兵士長


「名前ちゃん見える?」
「はいっ!大丈夫です!」


エルヴィンさんの部屋を出た後、私はハンジさんに連れられて調査兵団の本部に併設されている訓練場に来ていた。
訓練場は広く、思ったよりもたくさんの兵士の皆さんが訓練に勤しんでいた。
少し離れた木の影から隠れてハンジさんと2人でリヴァイさんを探す。


「けっこう人いるけど、名前ちゃんどれがリヴァイか分かる?」
「任せて下さいハンジさん!」


そう、私の特技はどんな人混みの中でもリヴァイさんを見つけることなんです。この特技においては絶対に他の人に負ける気がしません!


「あっ!居た、リヴァイさんだ!」
「おおー!さすがだね名前ちゃん。」
「えへへ…。」


訓練場にある森のような所で部下だと思われる人に、何やら指導をしているリヴァイさんの姿を見つけた。
残念なことにここからだと声までは聞こえないけど、リヴァイさんの普段よりも真剣な表情にドキドキしてしまう。


「リヴァイさん兵士長っぽいですね。」
「あははっ!そりゃあ兵士長だからね。」


声のボリュームを落としてハンジさんに耳打ちした後、リヴァイさんの方に視線を戻すと、リヴァイさんの身体が宙に浮いた。それも物凄い早さで。


「えっ?あれが立体機動!?」
「そうだよ。リヴァイは兵団1立体機動が上手いからね。」
「駐屯兵団の人と動きが全然違います!」
「あはは!名前ちゃんそれ正直過ぎ。」


ハンジさんは笑ってるけど、これは笑ってる場合ではありません!だって目で追うのがやっとですよ!


「リヴァイさん…凄い…。」
「名前ちゃんリヴァイに惚れ直しちゃったんじゃないの?」
「はい…。物凄く…。」


あんな姿を見て惚れ直さない訳がない。いや、むしろ惚れない女子は居ないのでは?とさえ思ってしまう。
ここに来た時に、女の子達がリヴァイさんのことをキャーキャー言ってたのにも納得だなぁ。


「ほんとに素直だね。きっとリヴァイは名前ちゃんのそういう所に惚れたんだろうね。」
「…………。」
「名前ちゃん?」
「……えっ?今何か言いました?」
「もー!別に何もないよ!」


ハンジさん何て言ったんだろ。リヴァイさんに見惚れてて全く聞いてませんでしたとは言いにくい…。ううっ…ごめんなさいハンジさん。


「じゃあ名前ちゃん、次は約束通り私とお茶してもらおうかな。」
「はい。そうですね。行きましょっかハンジさん。」
「あれ?もう良いの?私はてっきりもうちょっと見たいって言うと思ってたよ。」
「確かにもう少し見たい気持ちもありますけど、ハンジさんとお茶をして帰って栄養のある晩ご飯を作ります。あんなに激しい訓練をしてたら、きっとリヴァイさんお腹を空かせて帰ってくると思うから。」


訓練中のリヴァイさんの姿を見て、私がリヴァイさんの為にできることなんて少ないと思うけど、少しでもできることを全力でやろうと思った。だって私はリヴァイさんのファンでは無くて、妻だから。
まぁ1番のファンでもありますけどね。


「そっか。じゃあ名前ちゃん私の研究室に行こう!」
「はーい!」


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