愛してるの意味は


「名前、パパまだぁー?」
「もうすぐ帰って来ると思うよ。でも今日はいつもより遅いね…先に寝とこっか?」
「やだぁーっ!パパといっしょにねるのーっ!」


今年、4歳になった息子はリヴァイさんのことが大好きでいつもならとっくに寝ている時間を過ぎても、眠たい目を擦りながらこうして頑張って起きている。私のことをママではなくて名前と呼ぶことや、パパを独り占めしたい独占欲の強さとかはもうリヴァイさんにそっくりで。顔もリヴァイさん似だから、何だかリヴァイさんがそのまま小さくなったみたいな不思議な感覚になる時がある。


「じゃあもうちょっとだけ一緒に待ってよっか。」
「かえってくるまでまつの!」


意志の強い所もリヴァイさんにそっくり。これは無理に寝かそうとしたら暴れるだろうなぁ。リヴァイさん早く帰って来て!

あくびをしている息子の頭を撫でていると、玄関の方からガチャガチャと物音が聞こえてきた。


「パパ!?」
「見てくるからちょっと待っててね。」


玄関を覗くとそこには私と息子が待ちに待ったリヴァイさんの姿があった。


「リヴァイさんお帰りなさい。」
「ああ。あいつは?」
「まだ起きて待ってます。」


私の言葉を聞くと「やっぱりな。」と言って足早に部屋に向かうリヴァイさん。最近はただいまのキスがないのが私は少し寂しいです。


「パパぁーっ!!抱っこー!!」


リヴァイさんの帰宅に、いつもなら寝ている9時を過ぎているのに息子は大はしゃぎ。
両手を広げて飛び跳ねて本当に嬉しそう。その姿を見ていると自然と頬が緩んでしまう。


「手洗いが先だ。」
「じゃあぼくもバイキンくちくするー!!」


駆逐!?明らかに4歳児の使う言葉じゃない。一体どこで覚えたんだろう。この前、エレン達がうちに来た時かな。


「良いか。お前は爪の中を洗うのをよく忘れるだろ。爪の中こそしっかり洗え。」
「うん!ぼくつめもがんばる!」


2人仲良く手洗いをしている姿を後ろから覗くと、同じように少しだけ刈り上げた頭が並んでて可愛い。
でも最近のリヴァイさんは息子のことしか見えてないようでやっぱり少し寂しい。
そう思った私は、手を洗っているリヴァイさんに後ろから抱きついてみることにした。

身体に手をまわしてギュッとすると、リヴァイさんが何か言うよりも早く私に気付いた息子が大きな声を上げた。


「名前ー!!やめろぉー!ぼくのパパだぞー!!」


顔を真っ赤にして怒る息子。でもこれぐらいは許して欲しいな。


「パパはあなたが産まれるずっと前からママのものなんですー。」
「ぼくがうまれるずっとまえ…そんなの…そんなのいやだあああうわぁあああー!」


今度は大声で泣き出してしまった。ちょっと意地悪しすぎちゃったかな。


「ごめんごめん。パパはママのものじゃないよー。あなたのものだよ。」
「仕方ねぇな。」


よしよしとあやしてみても一向に泣き止んでくれない。横目で私達を見ていたリヴァイさんは、手を洗い終えると突然私と息子をぐいっと抱き寄せた。


「…パパ?」
「もう泣くな。俺はお前達2人を愛してる。」
「リヴァイさん…。」
「パパ。あいしてるってなに?ぼくわかんない。」


4歳の息子には確かに愛してるって言葉の意味はまだ分からないだろうなぁ。あなたのパパがこの言葉を使うのはとっても珍しいことなんだよ。

息子の問いかけにどう答えるのか気になってリヴァイさんの顔を見つめていると、リヴァイさんはゆっくりと息子に言った。


「愛してるってのは…何よりも大切ってことだ。」


その声や表情があまりに優しくて、今度は私が溢れる涙を堪えることができなかった。


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