Where's the ring!? 前編


外はポカポカと暖かくとっても天気が良い。リヴァイさんはお休みで、1日中一緒に過ごせるという私にとってはかなり嬉しい日。2人でゆっくり夕飯のお買い物をしたり、家でお茶をしたりして、今日は幸せ過ぎたなぁ。
…でも、そんな幸せな1日の陽が傾きかけた頃に、大事件は起きた。


それは、朝から外に干していた洗濯物を取り込もうとした時のことだった。何気なく自分の手に目がいった私は、信じられないことに気が付いた。


(指輪がないっ…!)


いつも肌身離さず付けているリヴァイさんからもらった大事な結婚指輪。それが何度見ても定位置である左手の薬指にない…。あまりにショックで突然の出来事に、頭が真っ白になりそうだった。


(何でないの…!?まさか…どこかに落とした!?)


窓の外から部屋の中を覗くと、お気に入りの椅子に座って本を読むリヴァイさんの姿が見える。指輪をどこかに落としちゃいましたなんて、リヴァイさんには絶対に言えない。結婚指輪を失くすなんてあまりに最低な行為だから、「名前、お前とは離婚だ。」って言われるかもしれない…。


(そんなの絶対いや!!)


だから、何としてもリヴァイさんには気付かれない様に探さないと…!


私は洗濯物を取り込みながら考えた。昨日までは確かにあったから失くしたのは今日のはず…。家の中か、買い物に出た時に落としたかのどっちかだよね。


(外で落としてたら…もう見つからないかもしれない…。)


そう思うと不安で手が震えた。でも、探さないことにはこの状況は変わらない。
そう考えた私は、まずはそんなに広くない家の中から探すことにした。意外とテーブルの上とかにあるかもしれないし!…と淡い希望を胸に抱きながら。
リヴァイさんに気付かれない様にあくまで自然に…自然に…。


「何やってんだ名前?探し物か?」
「は、はいっ!この前買ったお料理の本どこかな〜と思って!」
「そうか。」


そう言って、リヴァイさんはまた本に目を落とした。特に私の行動を怪しむことはないその様子に、ほっと胸を撫で下ろす。

その調子でテーブルの上、寝室、お風呂、台所まわり、床と家の中を隅々まで探してみたけど、指輪は出てきてくれなかった。
あと考えられるのは外しかないというこの絶望的な状況に、私はもう泣き出しそうだった。
窓の外にはオレンジ色の空が広がっている。


(日が沈むまでに見つけないと…!)


「…リヴァイさん。私…買い忘れた物があるのでちょっと買ってきます…。」


リヴァイさんの前に立ち、そう言った私の声はきっと震えていたと思う。罪悪感でリヴァイさんの目が見れない。


「…俺も行く。」


リヴァイさんは本をテーブルの上に置き、立ち上がろうとしたけど、両手で肩を押えて私はそれを制止した。


「せっかくのお休みだからゆっくりしてて下さい!すぐ戻りますからっ!」


焦りから少し大きくなる声。自然にしようと思ってたのに、今の私は挙動不審過ぎる。


「…暗くなる前に帰って来いよ。」


明らかに様子のおかしい私を見て、リヴァイさんは少し訝しげな表情で、それでも何も聞かずにそう言った。


「もちろんそのつもりですっ!…じゃあちょっと行ってきます!」


私は走って逃げる様に家を出た。罪悪感と不安で胸が苦しい。リヴァイさん本当にごめんなさい。
指輪が見つかるまで、この家には戻れない…!


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