花を待とう


「ええーっ!?名前ちゃんにプロポーズ!?」
「あぁ。明日な。」


あまりの衝撃に、思わず叫んだ私の大きな声は食堂に響き渡る。リヴァイはいつものように淡々と話してきたけど、これは一大ニュースじゃないか!!
正直、リヴァイが誰かと結婚なんて私にはびっくりだよ。


「へぇー。リヴァイが結婚かぁ。でも、どうして突然プロポーズする気になったの?」
「別に突然じゃねぇよ。俺はもっと早くしても良かったが、あんま早ぇと名前のやつがまだ出逢ったばっかりなのにとかごちゃごちゃ言いそうだったから、今まで待ってやったんだ。」


なるほど…。どうやらリヴァイは名前ちゃんが好きで堪らないらしい。一刻も早く結婚して自分のものにしたいんだな。


「それにあいつに群がる虫けら共もうぜぇ。」


リヴァイが嫌悪感丸出しで「虫けら」とか言ってるのは、名前ちゃんの働いてる花屋に来る、名前ちゃん目的の男どもらしい。そいつらを見つけるたびにリヴァイは睨みをきかせて威圧してるけど、これが一向に減らないらしく…。イライラしてるリヴァイによく八つ当たりされる私にとっては、このプロポーズがうまくいけば今までより安らかな日々が待っているかもしれない…!

(よしっ!頑張れリヴァイ!頼むから頑張って下さい!)


「あれ?そう言えばリヴァイご飯食べないの?」


食堂に来て話し始めてから数分が経つけど、リヴァイは全くと言っていいほど食事に手をつけていなかった。…具合でも悪いんだろうか。


「…胃の辺りがムカついて気持ち悪ぃ。」


ま、まさか…!!人類最強と言われバッタバッタと巨人をなぎ倒す男が、たった1人の女の子へのプロポーズを目前に緊張しているのでは…!?そう思うと私は可笑しくて仕方がなかった。


「あはははっ!リヴァイでも緊張したりするんだね。」
「バカ言え。俺は緊張などしていない。」
「…ふーん。じゃあ名前ちゃんに振られたらどうすんの?」
「…チッ」


舌打ちをして胃の辺りをさするリヴァイ。その姿に手を叩いて思いっきり笑いたかったけど、ここで笑ったら殺されると予感した私は、空気をよんで込み上げる笑いを噛み殺した。


「でもさ、万が一名前ちゃんがプロポーズを断ったりなんかしたら、リヴァイは黙って引き下がるの?」


これは私の好奇心だった。名前ちゃんがリヴァイのプロポーズを断るなんて絶対にないとは思うけど…。


「んなわけねーだろ。あいつが断りやがったら、既成事実を先に作りそれから嫁にするだけだ。ガキが先か、後かただそれだけのことだ。」


名前ちゃんを手放す気なんてさらさら無いじゃん!じゃあ何をそんなに緊張してるんだか…。私はリヴァイの発言に、何としても名前ちゃんを手に入れるという執念を感じた。これはかなり惚れてるな…。そう思うと自然と頬が緩む。


「おいクソ眼鏡、何ニヤついてやがる。」
「別にぃー。」


まぁ今夜は巨人のことはあまり考えず、リヴァイと名前ちゃんの幸せを祈りながら眠りに就くことにしてあげよう。


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