アネモネの咲く頃に | ナノ


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もうずっと長い間、1人でいることが当たり前だった。

両親は生前調査兵団に所属し、壁外調査中に巨人に喰われたらしい。
そんな両親の顔も今ではよく思い出せない。


両親を亡くした後は、父方の親戚の家に預けられた。
食糧難を理由に何軒かの家を転々とした。
どの家も自分たちの食料を確保するだけで精一杯なのは、子供の私から見てもよく分かった。


そして12歳になった頃、当時身を寄せていた親戚に「都に行くから一緒に来なさい。」と言われ、ついて行った先で身を売られそうになった。
私のような東洋人はかなり珍しいらしく高く売れるらしい。とは言っても混血なんだけど。


売られることに恐怖を感じた私は、親戚たちの手から必死になって逃げた。
12歳になったら訓練兵に志願できることを知っていた私は、そのまま逃げるように訓練兵団に入団した。生きる為の選択だった。


そのまま訓練兵団を卒業し、調査兵団に入団した。
両親の見ていた景色を少しでも見てみたかったからという理由だけで。


でもどれだけ外の世界を見ても、両親の仇である巨人を殺してもずっと孤独感は纏わり付いた。
信頼に足る仲間もできたのに、心を許してまた裏切られるのが怖かった私は常に人と一定の距離を保って生きてきた。


このままずっとこの孤独と一緒に生きて行くんだと思ってた。


リヴァイ、あなたと出逢うまでは。



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