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「う…ん…。」
重い瞼をゆっくりと開けると、見慣れた天井が目に入った。
…あれ?私、昨日どうやって帰って来た?
エルヴィンが先に帰って、リヴァイのお酒を横取りしたことまでは覚えてる。でも、それ以降の記憶が……全く無い!
「やっちゃったなぁ。」
みんなには後で謝るとして、まだ眠いしもうちょっと寝よう。
二度寝することを決めた私はゴロンと寝返りをうった。
「え…?」
でも、ありえない光景が目に入った私の脳は一気に覚醒し、眠気はどこかに吹き飛んでしまった。
(リヴァイが寝てる!)
何で!?どうして!?
頭が混乱して周りを見渡してみたけど、やっぱりここは私の部屋だ。
バッと布団をめくって確認したら、2人ともちゃんと服を着ていた。
(良かった…!)
記憶がない間に成り行きでリヴァイとそういう事をしてしまうなんて絶対に嫌だもん。まだ自分の気持ちも伝えられてないし、それにそんな初体験は嫌だ。
「一体あの後何があったんだろ。」
でも、今は考えても仕方がない。覚えてないものは覚えてないんだから。ハンジが昨日言っていた「あとで後悔しても知らないからね。」の言葉が頭を過った。リヴァイが起きたら、怖いけど何があったのかちゃんと聞こう。
身体を起こして、仰向けで規則正しい寝息を立てているリヴァイの寝顔を覗き込んでみたけど、全く起きる気配がない。
(それにしても…寝顔は可愛いな。)
いつも眉間に刻まれている深い皺もないし、普段よりも少しだけあどけなさを感じさせるその寝顔は反則だと思った。
「リヴァイ…大好き。」
気が付いたら、私は吸い寄せられるようにリヴァイの頬にキスを落としていた。
リヴァイが好き、大好き。あんな態度を取られた後でも、やっぱり私はあなたが大好きだよ。
「…ん…。」
それからしばらく寝顔を見つめていると、リヴァイの瞼がゆっくり開いた。
「リヴァイおはよ。」
「名前か。寝覚めの悪ぃ顔だな。」
目覚めたコイツはやっぱり可愛くない。
「ねぇリヴァイ、私昨日の記憶が途中から全く無いんだけど、どうしてリヴァイが私の部屋で寝てるの?」
「何にも覚えてねぇのか?」
「…うん。」
「そうか。お前昨日すげぇ激しかったのにな。」
リヴァイの言葉に私は一気に青ざめた。
(激しいって何が!?)
「リ、リヴァイ…。昨日一体何があったの…?」
「聞きてぇのか名前。知らねぇ方が良いと思うがな。」
これが夢なら早く覚めて欲しい。
私の頭には、またハンジの「あとで後悔しても知らないからね。」の言葉が過った。