アネモネの咲く頃に | ナノ


  07


リヴァイが調査兵団に来てからそろそろ1ヶ月を迎えようとしていたある日、私はハンジと食堂で昼食を食べていた。


「ねぇ名前、そろそろ次の壁外調査の話が出そうだと思わない?」
「うん、私も思ってた。この間の壁外調査は被害が少なかったし、リヴァイも充分壁外に出れるだけの実力をつけてるしね。」


リヴァイはたったの1ヶ月足らずで実践に出れる程の実力を付けた。馬術も、立体機動もそこらの団員を遥かに凌ぐほどのレベルで。こんな前例は未だかつて聞いたことがない。
今のリヴァイなら巨人を討伐することもそんなに難しいことじゃないと思う。


(そろそろエルヴィンからお呼びがかかるだろうな。)


ハンジと話していると、食堂に入って来るミケの姿が見えた。


「名前、ハンジ、ここに居たのか。2人共エルヴィンが呼んでるぞ。」


(ついに来た!)


ミケの言葉に私とハンジは顔を見合わせた。きっと次の壁外調査についてのことだ。







「3人に集まってもらったのは、次の壁外調査のことを相談する為だ。」


私達の予想は見事に当たり、エルヴィンがきりだしたのは壁外調査についてのことだった。


「うん、そうだろうと思ってたよ。さっき名前とそろそろかなって話してたんだ。」
「そうか。リヴァイもかなり実力を付けてきているしな。名前、リヴァイは壁外に出ても大丈夫そうか?」
「全く問題無いと思う。並の兵士よりも巨人を討伐しそうな勢いだよ。ね、ミケ?」
「ああ。馬術も全く問題無い。充分壁外に出れるレベルだ。」
「そうか。」


エルヴィンは全く表情を変えずにそう言った。自分の連れて来た男だから自信があったんだろうな。


「それで班の編成はどうするの?いつも通り私達で配置まで決めていいのかな?」


私が1番気になっていたこと…。、それが、今ハンジがエルヴィンに問いかけた班の編成についてだった。一体あのリヴァイがどの班に入るのか。おおよそ調査兵団1の実力者であるミケの班だろうと思うけど。


「それなんだが、リヴァイは名前の班に入れようと思っている。」
「え?どうして!?実践なら私よりミケの方が上なのに。」


エルヴィンの口から出たのは予想外の自分の名前で、私は動揺を隠すことができなかった。


(最初なんだしミケの班の方が良いと思うけど…。)


「それは名前の班の生存率が1番高いからだ。」
「名前は班員を死に物狂いで守るからね。」
「ああ。特に新兵は初めての壁外調査は名前の班を希望する者も多い。」
「…そうなの…?」


自分の班の生存率が高いという話は確かに聞いたことがあった。でもそんなのは偶然だと思っていたし、自分の班を希望する新兵がいるなんて全く知らなかった。


「名前、納得してくれたか?」
「うん、分かった。」
「ありがとう。リヴァイのこと頼んだよ。」


今までも確かに班員を守りたいっていう気持ちはあったけど、それ以上に巨人との戦闘中は何も考えなくて良いからという思いが強かった。
でもそんな話を聞いたら今までのままじゃいられない。


(リヴァイも班員も…何があっても私が守る!)


その会議の後、新たな決意を胸に私はリヴァイのもとへ向かった。


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