twilight grow | ナノ

◎解けない魔法、惑わされぬは変化の心


「そういえばさ、あの時どうして紫原君は私の名前が分かったの?」


“あの時”。勿論千夜ちんと俺が初めて出会ったあの火災の日の事だろう。
正直どうしてかは俺にも分からない。叫び声を聞いた途端、今俺の横でちょこちょこ歩いているこの小さい女の子の顔と名前が思い浮かんだんだから。

咄嗟に叫んだ“千夜”という名前は、何でだろ、ひどく懐かしくて。
炎の中で泣きながら震える小さい体を抱きしめた時、あんな状況だったのに凄く心地よくて。俺の腕の中で千夜ちんは安心したように眠っていた。

真っ赤な炎に焼け焦げていく千夜ちんの家は、千夜ちんを守るようにして倒れている両親を丸ごと飲み込みながら崩れていった。
俺は、別にこの家なんかに興味なかったから、千夜ちんだけ助けた。

それが、まだ生きている命だったからなのか、それとも千夜ちんだったからなのかはよく知らない。


「千夜ちんさ、なんか好きなことってないの?」

「え、私の質問は無視?」

「ないの?」

「う、・・・。えっと、ね、そうだなあ。ボランティアとか!」

「はあ?」

「うん、人助けだよ。私も紫原君に命を助けられた身であるからね。別にあの時みたいにレスキューしたいって言ってるわけじゃないんだけど、私がやる事で誰かが少しでも助かったり、支えになったりするのなら、私はやりたいかなあ」


「そ、っか。じゃあさ、俺のお手伝いさんしない?」

「おてつだい?」

「うん。誰か天使仲間と会えれば二人で仕事するんだけど、やっぱり会わないことの方が多くてー。一人じゃ出来ないのもあるでしょ?ほら、そこ。ちょっとだけ手伝ってもらえたらなーって。だめ?」

「おてつだい、。うん、やる!やらせていただきます」

「やったあ」


てな訳で、












私は紫原君のお手伝いさんになったのだけれど。



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