であい




「(今日も来てない…。)」



春の木漏れ日が眩しい昼下がり。

窓側の一番後ろの席という最高ポジションをゲットした私は、頬杖をついて外で体育をやっている男子生徒達を見つめていた。

よくもまあこんな眠たくなるような昼寝日和に、外で元気にサッカーなんてできるよなあ。

と、一つため息をついたのは別に体育中の男子たちに対してではない。


私のクラスには問題児が一人いた。

真波山岳。まあ、私の現隣の席の人である。
入学してから数日が経つが、今までに一度だって、朝からこの教室に居た事はない。
遅刻して遅れてくるか、休むかだ。

不良?不登校?最初は厄介者と隣になっちまったなあと思ったけれど、どうやら学校に有名な自転車競技部らしく、学校に来ている時に坂を見つれば登りたくなる。らしく、気が付いたら遅刻だったらしい。

まあなんというか、隣がぽっかり空いていると寂しいというか。

まだどんな人かも分からない。話してみたいなあという好奇心からか。


今日も来ていない真波くんを勝手に妄想しながら、またため息をこぼすのだった。



「おいなーにため息なんか零しちゃってのよー。あんたイメチェンしたわけ?悩める乙女アピールですかーい?」

「うるさいなあ工藤。この愚か者め!」



にやにやとからかいの色を含ませながら私の頬をつつくこの愚かな女は工藤。
私を馬鹿にした罰として、名前を表記してあげないよーっだ。ざまみろばーか。
いや、本当は作者が考えてないとかそんな滅相もない…っ!!



「だいたい今自習でしょっ?!何で勝手に席立ってるんだ!もっとまじめにしろよっ!もっとまじめに…っ、まじめにプリント解いて終わったら答え写させてよ!!」

「いやいやふざけんなしwwww」



そう、実を言うと今の時間は自習なのだ。

数学の担当教師が風邪で休みの為、急遽自習となった。別に監督の先生がくるわけでもないこの教室はもう手遅れだった。

隣の真波君の席を我がもののようにして座る愚か女、工藤のように自分の席を離れて友達と話しているひと、後ろでキャッチボールしてるひと、真面目に自習してるひと、寝てる人さまざまだ。

完全に無法地帯である。



「ほんとにみんなもどうかしてるよっ!真面目にプリント解こうよ!そして今から睡眠に入る私のプリントも誰かやってよ!!」(小声)

「サクラ―、もう少し大きな声でェーっ!ww」



そういって更に笑いが沸き起こる教室。

くっ…、なんかものすごく馬鹿にされた気分だ!不愉快だ!よって私は寝る!!


白紙のプリントを工藤さまに押し付けて机に突っ伏した。









あの後うるさかった教室で怒られた私達だったが、私は一つ気になる事を担任にききにいった。



「先生、真波くんってこないんですか?」

「おっ、そういえば清野の隣だったな!もしかして興味あるのか?!そうかそうか良かった!丁度先生も真波については手こずってたんだよー!ありがとう!」

「は?」

「ん?真波の事、これから探しに行って学校に連れてきてくれるんだろ?」

「 何 故 そ う な っ た 」



ということで私は真波くんの捜索隊員に任命されたのだった。

まさかこれが胸をあつくする恋に繋がるとは微塵も思っていなかった。





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テーマ「人外ファンタジー」
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