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 まあ、『白ひげ海賊団』はあまり悪さをしない海賊達だ。
 財宝より家族が欲しいと言ったらしい『白ひげ』が率いているのだから当然だろう。
 一部の海兵には『ごっこ遊び』と揶揄される彼らのつながりはしかしただの親子よりよほど強いようで、家族と会えなくなってしまったナマエにとってはわずかに羨ましさすら感じられる。

「……まあ、放っておいていいか」

 休みの日にまで海賊を追いかけ回したくはないと、海兵らしからぬことを考えて息を吐いたナマエは、ふい、とその目を海賊の方から逸らした。
 そのまま散歩へ戻ることにして、海賊がいるのとは逆の方向へと足を進める。
 その視界の端に店先に並んだ鏡が入り、ふとそちらで揺らいだ人影に気付いたナマエは、何となくそちらを注視した。

「…………ん?」

 ナマエの後方を写す鏡に、ナマエの方へとゆっくり歩いてくる人影が見える。
 その姿がつい先ほどナマエの見かけた男だと気付いた時、鏡越しにどうしてか目が合って、ナマエに気付いたらしい海賊がわずかに口元を笑みにしたのが、ナマエにも分かった。
 そして、先ほどまでの歩みよりも少し早く、海賊の足が動く。



逃げる

放っておく

リセット