『不死鳥マルコ』と言えば『白ひげ海賊団』の一員だ。
海軍大将やそれに準ずる実力者ならともかく、ナマエが近づいて攻撃を仕掛けたところで、討ち取れるとも思えない。
むしろ、海兵だと気付かれて向こうからちょっかいを掛けられてしまったら、と想像するだけで、ぞわりとナマエは背中を粟立たせた。
「……行こう」
触らぬ神に祟りなしである。
一つ呟き、そして自分へ納得させるように頷いたナマエは、すぐさまその場を後にした。
海軍に入隊してただ一つ磨き上げられた逃げ足が、こんなところで輝くことになるとは夢にも思わなかった。
end
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