- ナノ -
TOP小説メモレス


 休息と言うのは、日々を生きる上でとても大事なものだ。
 下っ端よりは多少上の役職になり、その分増えた気苦労にわずかに軋んだ心を休ませるべく、ナマエはいつも通り散歩に繰り出していた。
 ナマエの勤務地である穏やかな島は、相変わらず平穏だ。
 スローライフを過ごしているんだろう人々を見ていると、部下達と上官に挟まれて中間管理職じみた立場をやっているのが多少馬鹿らしくなる。
 就職の選択を間違えたか、なんてことまで考えつつ、ナマエは気ままにふらふらと町中を歩いていた。
 制服を脱いだナマエが歩き回っても警邏にもならないが、ただの散歩なのだから問題はない。
 もう少し日が傾いたらいつものように酒でも飲みに行くか、なんて考えながら足を動かしていたナマエは、ふと通りかかった路地に見えた人影に、おや、と足を止めた。

「……あれは……」

 遠く離れた前方に、何やら見たことのある背中が見えるのだ。
 服装や背丈より何より特徴的なその頭部に、うわ、とナマエは小さく声を漏らした。

「……不死鳥マルコじゃないか」

 ロジャーと呼ばれた海賊王と双璧をなしていた『白ひげ』の率いる海賊団のうちでも、随分と有名な賞金首だ。
 いやなものを見つけてしまった、と考えて、ナマエは軽くため息を吐いた。



逃げる

放っておく

リセット