「うっわ!どうしたのその荷物!」
「今日からうちの部GW合宿なんだー」
合宿用の着替えやら何やらが入ったカバンに驚くともだちに説明しながら席に座る。
旭さんとノヤッさんが完全復活を果たして数日が経った。2人ともスッキリした顔してたし、もう大丈夫だろうと私は勝手に思っている。
「へぇー!バレー部合宿するんだ!何日間?」
「4泊5日」
「えッ!休み全部潰れんじゃん!せっかくの連休なのに」
ご愁傷様と言いながらも彼女の顔はにやけている。今度から課題写させてやらないからな。
「今回はなまえに見せてもらうのは難しそうだし、誰に課題見せてもらおっかなー」
「自分でやるって選択肢はないんですか」
「はいはい、お前ら席付け〜」
担任のきだるそうな声とともに、世間ではGW初日とされる今日も通常通り朝課外が始まった。
*
「うおおおっ初めて来たっ」
翔ちゃんが学校の敷地内にある合宿場を見て興奮した様子で叫ぶ。そぬき興奮は建物に入ってからも続いているようで、今も1人であちこち走り回っていた。
「うおおお〜!!」
「お前ちょっと落ち着け」
「翔ちゃんいつにも増してテンション高いねー」
「だって!合宿って初めてだしっ」
そういえば翔ちゃん、中学の時は3年生になるまで1人で活動してたんだっけ。部活の強化合宿は学校の勉強合宿とか修学旅行とはちょっと違うし、テンション上がるのも無理ないか!
「1日中むさ苦しい連中と顔つき合わせて何が楽しいのさ」
「ツッキー、私達マネジの存在を忘れてない?」
「何ですかマネジって」
ツッキーの言葉を聞きつけて、早速龍ちゃんとノヤっさんがクレームを付けに来た。
「おい月島てめぇ!」
「半径500m以内に潔子さんが居る空間はむさ苦しくねぇんだよ!!」
「いやいやいや私は!?」
もはやこの2人にとって、私は女子ではないのだろうな。いつも男子同士みたいなノリだし。
「清水は家近いから用事終わったら帰っちゃうよ?いつもそうじゃん」
私達の話を聞いていたのか、スガさんは爽やかに龍ちゃんとノヤっさんの上に爆弾を投下して行った。2人は死んだようにバタリとその場に倒れ込む。うるさい2人をいっぺんに黙らせるあたり流石です!
「みょうじさん、泊まる部屋って…」
「あ、ごめんね!こっちこっち」
飛雄君に聞かれ、1年生はここに泊まるのは初めてだったという事を思い出し、2階に続く階段に案内する。
「うごッ!」
「ぐえッ!」
「ちょ、みょうじさん!田中さん達踏んでる踏んでる!!」
「いいのいいの。ゴミみたいに転がってるのが悪いんだから」
「ゴミ…」
飛雄君は私の返事に驚いたような顔をしたが、潔子さん…と片手を伸ばし呟く2人を最後は哀れむような表情で見ていた。
「みょうじさんって…」
「ん?」
「結構容赦ないっスね。色々と」
「色々?」
32
TOP