main | ナノ



10


中学生ごしゅあり
────────────


例えば、空が眩しくて見続けるのが辛くて、校内のグラウンドに目を落としたら自然と彼を探していた。いるはずもないのに。
例えば、コンクールの表彰台に乗ったときも会場に彼がいないか目を走らせていた。僅かな期待だけで。
例えば、街を歩くときも彼がいたらいいかな、なんて思いながら歩いたりした。


彼。


気が付いたらヴァイオリン以外に私の思いを占めているのが彼になっているときもあった。
そんな自分が嫌だった。
ゴーシュばかりな自分が嫌だった。
どのみち彼の眼中には妹シルベットしか無いと言うのに、私の中は彼しか無いのが嫌だった。
それでも彼とは人並みな交遊関係を築いていると、思っていたんだ。
だからゴーシュの言葉に頭が真っ白になった。




「僕とアリアって、友達なの?」




私は当然そうだと思っていたから、一瞬唖然とした。デュエット練習の後片付けでヴァイオリンを終おうと持ち上げたケースを落としそうになる。
友達以外の関係なら、一体どんなだって関係というのだろう。
衝撃を抱えたまま、当たり前じゃない、と笑顔で伝えるのに数秒がかかった。

だって、私はゴーシュばかりで友達以外の感情を抱えていたのに彼は友達、という認識すらなかったなんて。<



酷く寂しく感じたんだ。















───────────
幼少期書きたかったのに書けない。

[ 21/116 ]
/soelil/novel/1/?ParentDataID=16


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -