main | ナノ



3


ロイエレ
────────



体がだるい。熱くて、寒い。お布団から出たくない。
ごろんと寝返りをうった。
すると灰色の厚手の靴下が視界をかすめ、あ、と思ったけれど遅かった。


「いつまで寝てるんだ、エレナ」
「今日は‥休みじゃない‥」


辛うじて出した声に彼が眉を潜めるのがわかった。顔なんて見ていないけれど。
そしてため息をひとつついて彼は、喉の掠れ具合が異常だぞ、と囁いた。


「確かに、ガラ声かも…‥」
「で、お前は何に泣いてるんだ?エレナ」


枕元に仁王立ちしていたロイドが片膝をついて寝起きのあたしの顔を覗き込む。エレナ、と呼んだのがやけに優しく聞こえた。
一応私女の子で素っぴんなんですけど、と呟いてのそのそと頭からお布団を被る。彼の問いに答えないのは寝起きだから自然と出た涙だと思ったから。
上から、おい、エレナ、ともう一度優しく呼ぶ声がする。煩いなぁ、ラルゴ。呟くと、彼が失礼、と呟いてお布団き手を突っ込んで額に手を当ててきた。
あまりにもその手が冷たくて、ひやぁと間抜けな声で叫んだ。ガラ声だからびやぁ、だったけど。


「熱あるぞ、エレナ」
「へ?滅多なことじゃ風邪ひかないあたじが?」


うん、と答えたラルゴとお布団から頭をのそのそと出したら目があった。眼鏡越しにある彼の瞳が心配そうに揺れている。手を伸ばして彼の頬に触れてみたらほんのりあたしの手の方が熱くて、本当に熱があるんだ。ぼんやり思う。瞳だけ心配そうにしている彼が、今日のコンサートは中止だね、と呟いて立ち上がりかけたから上着の裾を掴んで、呟いた。
看病、していって。
大学に入ってから初めての、精一杯の、甘えだった。














ロイエレ。
エレナちゃん風邪ネタ。
ロイエレはお互いの合い鍵を持ってます。お互い留学していたので、留学中、どちらかが日本にいたらお掃除頼むね、ってなって。
この後、お粥やらを館長作ってくれることでしょう。
最後は館長のハープでエレナちゃん寝るんだよ多分。
最近パロssをいくつか見直したら今や音大関係なく学パロ状態なのに気付きました。
ごめんなさい、私の知識不足(苦笑)


[ 32/116 ]
/soelil/novel/1/?ParentDataID=16


 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -