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お茶を買ってくるから、そう言ってレジャーシートから立ったら待って、私も行く!と、アリアがついてきた。
5人分のペットボトルは袋もないのに持てないでしょ?と主張して。
山道を少し下った所に自販機があったからそこを目指して少し歩く。身長差なのか、歩幅の違いゆえにすこし遅いアリアに合わせながら。
今日はいつものメンバーで紅葉狩りに出た。計画を練ってくれたのはロイド先輩。車を運転してくれたのはジギー先輩。お昼を用意してくれたのはエレナ。飲み物もあったけれど車内で飲み干してしまったのだ。
全く、トークスキルが凄い先輩といると退屈せず、話は盛り上がる。代わりにお茶の消費量はいつもの倍になる気がする。
そんなわけでいざ、紅葉を眺めつつお昼をと思ったらペットボトルは空で、逆さまにしたら雫が滴るか否か、だった。


自販機は左右、どちらに行けばあつたかなと思っていたら小さな悲鳴に腕を掴まれる感触。
横を見やると納得、アリアがよろけていた。

「腕、かすよ」
「ごめん、ありがとう」

ぎゅ、と僕の腕に彼女は確り捕まった。そしてはたと気付く。なんだか柔らかい感触に。
ちらり横目に彼女を見るとどうしたの?と聞くから慌てて何でもない!と応えた。

まさか胸があたるからやっぱり腕を貸せない、とは言えない。
言えない。とてもじゃないけど。
言えない。
仕方がないから自販機の事ばかりを考えた。




















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