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※音大生。一人暮らし。(3ヶ月目くらい)
※たまたま、アパートのお隣さんが幼馴染みでした。


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ノックをされたからとりあえずはい、と言って、玄関を開けただけだったのに。何がどうしてこうなったのだろう。



自分は今、アリアに押し倒されて、抱きつかれている。



回らない頭を現実に引き戻したのは玄関のドアがガチャン!!と悲鳴をあげて閉まった事だった。


「どうしたんですか?アリア?」
「ゴ、ゴゴーシュ、今晩泊めて!!!!」
「はい?」


何がどうして床に横になったまま、抱きつかれたまま泊めて!!と言われるのだろう。隣に住んでるのに。いい年した男女が一緒に泊まるって変な誤解を明らかにされそう、とか、期待してしまいたくなる状況だよなぁ、とか思いながらアリアを抱き起こし、自分も起き上がった。
やっと押し倒された時ついた尻餅やらの鈍痛が襲ってきて、少し冷静になれた気がする。それでも本当に頭が回らなくて、なんで頭が回らないんだろう、切実に困った、と思う。
とりあえず涙目で震えながら自分に抱き付いて顔を僕の胸にうづくめるアリアに、どうしたんですか?と聞いた。珍しく彼女に敬語を使ったなぁ、なんてぼんやりと思いながら。
ぼんやりと、と言えばさっきかすかに悲鳴を聞いた気がした。

「さっきの悲鳴、もしかしてアリアだったんですか?」
「‥うん…っ」


涙のたまった緑の瞳とバチリと視線が合うと、思わずドキリとする。その感情の正体は不明だけど、とりあえず質問をした。


「そんな、叫ぶような怖いことがあったの?」
「でたの…‥」
「でた‥?」
「う‥っん、その、ゴキ…‥ブ‥リ」
「…‥それで叫んでとっさに僕のとこに来たんですか?」
「うん‥ごめん、なさい。突然で‥その、…‥ゴキブリはボルトや家の人達に退治してもらってたから…‥」
「そうか‥。ねぇ、アリア、まだ、ゴキブリが怖い?」
「‥…今は平気。自分の部屋には戻れそうにないんだけど…‥」
「そっか…‥」



涙に顔を塗らし、しっかりと自分の夜着のTシャツをつかんで離さず、未だに抱きついている彼女の肩に手を回して抱き締める。
とりあえず泣き顔で今は平気と言われても説得力は皆無で、シルベットにするように頭を撫でた。



(さて、どうしよう)



ゴキブリにここまで怯えている彼女を無理やり隣の玄関まで送り出すのはあまりにかわいそうだけど、この事態は色んな人に誤解されるよなぁ、と頭を悩ます。いつもならここで名案が浮かぶもそうならない今、思うのは彼女を自分の腕から出したくない、それだけだった。




謎の感情
(頭が回らなくて)
(思い付いたのは慰める台詞でもなく、彼女が落ち着いたらデュオでもして夜を明かそうかという、他愛もないことだった)















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アリアさん、ゴキブリは頑張れば退治出来ると思いますがこんな風に(笑)
とりあえず音楽要素皆無である。
ゴーシュがヘタレである(笑)

館長なら抱き締めたまま軽くキスして呆けたアリアさんにショック療法だよ、とか囁きそう。
遅れて真っ赤になったアリアさんをみてかわいいなぁ、なんて思うんです、きっと。

ジキさんなら子供をあやすように背中を軽く叩いて夕飯か夜食をご馳走してくれる事でしょう。

博士なら退治に最適なものをくれるか、解剖しに部屋を飛び出したりして(笑)
一人にしないでってアリアさんが博士に言ったらかわいいね。しかし実は博士、アリアさんのナイスボディに反応してとりあえず逃げたかったりとか(だって10巻でセクシーだってるんですもの。)

エレナちゃんなら笑ってガールズトークに発展して、トランプ大会でもするでしょう。


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