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13


ジギーとエレナ
ロイエレとジギネリ要素がほんのり。ほんのり。
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部屋のカーテンがなびいた。
ベランダを開けているので、そのカーテンが踊るのだ。
朝食を、ターンテーブルの上に置いた所でチャイムがなる。
時刻は午前8時。こんな時間からの来客はハチノスヒルズの誰かだとは思うのだが、ともかく、キッチンから玄関に向かった。
誰だ?と手短に問うと、エレナ・ブランです、と手短に返ってきた。

(こんな時間に…?)


ドアを開けながら不思議に思った。一時間目の授業こと講義やレッスンは9時から始まるから、8時30分に出れば15分前にはついて、余裕でいられる。だが、ハチノスヒルズの女性陣は8時にはアパートを出て、大変余裕を持って行動する方々なのだ。たまに、遅刻しそうになって2人で駆けていくのを見たこともあるが。
なぜそんな風に悠長に見ているかと言えば、バイク通学の俺は歩くメンバーより速く着くのだ。また、3年生にもなると受けるべき講義は減る。必然的に時間も出来てきて一時間目のものをとらなくてよかったりする。
ちなみに今日は2時間目、10時40分から学校にいればいいのだ。なので、ゆっくり朝食をとろうとしたらチャイムが鳴ったのだ。
ドアを開けた先には栗色の髪と瞳の子がいる。ポイントはくりりとした瞳にそばかす、だろうか。
元気っ子な雰囲気の彼女は笑顔でおはようと言った。
大変眩しい、向日葵のような無邪気な笑顔で。


「おはようジギー」
「おはよう、エレナどうした?」
「えへへ‥朝食をいただけませんか?」


頭をかきながらあいも変わらず眩しい笑顔で無理かな?と聞いてくる彼女に一体何があったのだか。
なんでまた?と聞きながら部屋にあげると簡潔にエレナは話す。


「冷蔵庫が空っぽで」
「俺の所に来なくても」
「料理上手って評判のジギーの料理を食べたかったの!」


あ、情報元はロイドね!とウィンクして無邪気にわらうエレナは誰かに似ている。
ターンテーブルの上に用意した自分用の朝食をエレナが見ると、ランチプレートみたい!と声をあげた。この反応はどこで見たのだろうか。

「もしかして‥これから朝ごはんだった?ジギー」
「あぁ」
「おじゃましちゃって、ごめんなさい」
「気にするな。朝食は目玉焼きにサラダぐらいのおかずしか出せないが、構わないか?」
「うん!ありがとう!突然押し掛けてごめんね」


気にするな、と答えてからぽん、と軽くエレナの頭を撫でた。驚いたように目をしばたかせるエレナがいたから、あ、と思って前掛けをして、卵を割り、不思議な沈黙を目玉焼きの焼ける音で誤魔化した。ブラックペッパーを振りかける。
いい音!とターンテーブルから身を乗り出し、キッチンからを覗き込む少女じゃない、女は、向日葵のように笑う。
そうだ。この無邪気さと笑顔はネリに似ているんだ。
だから無意識に撫でてしまったりしたのだろう。
玄関先で靴を脱ぐしぐさもせっかちでどこか似ていた。



「手は洗うか?」
「あ、うん!部屋の作りはわかるから、洗面所使うね」
「あぁ」


洗面所に向かう姿を軽く追った。野菜を洗い、盛り付けながら思う。
パタパタと小走りする姿も似ている。ネリと。
変な親近感を抱いてしまったな、とため息のように苦笑いすると、どうしたの?と後ろから声をかけられた。なんでもない、と答えながら会話をすり替える。

「1時間は大丈夫なのか?」
「今日あたしは2時間目からなの。でもロイドもアリアちゃんも、ゴーシュ君も1時間目からだったの。これもジギーの所に来た理由かな」

ターンテーブルに座り、小さく笑ったエレナにそうかと言いつつ、目玉焼きにサラダ、ご飯に温野菜スープを出した。それから自分の朝食の前へと回る。
要はエレナの隣に腰掛けたのだ。


「買い物しようとかは思わなかったのか?」
「今から買い物に行って料理してご飯は2時間目といえども、スーパーの時間的に厳しかったし、朝マックとかはしたくなかったのよね‥」
「そうか」



冷えてしまった自分の朝ごはんを頂いていると、エレナがそれにしても、と口を開いた。なんだろうと思って隣を見たら視線がバッチリ、絡んでしまった。


「それにしても、ジギーはこんな風にご馳走してくれるとはおもわなかったわ!ありがとう!」
「いや、慣れてるからな」


呟くようにして答えると、きょとんした顔がある。
本当に懐かしいと思わせられる。ネリの仕草に、エレナは大変似ている。
それでも、きょとんしてからの顔の変化は初めてだった。
切なそうな揺れる瞳の顔になったのだ。
似ている、懐かしい、と思っていたのに、その表情は不意打ち過ぎた。


「そんなに、ロイドに押し掛けられてるの?」
「いや、ロイドは1ヶ月に一度くらいだが…」


予想外の答えだったのか、目を見開いたエレナが隣にいる。コロコロ表情が変わるところまでネリに大変似ている。
そうなの?ときょとんしながら聞く彼女にスープを飲みながらあぁ、と答えた。


「押し掛けて来るのがロイドだけじゃないだけさ。妹分や、知り合いがたまに、突然来るんだ」



そうなんだ、と言いながら潰した目玉焼きを頂くエレナを見ると、頭を撫でたくなってしまったから、食べることに集中した。


本当に似ていて、懐かしくなるのだ。ネリが成長したらこんな風になるのだろうかなんて。変な事まで考えてしまう。
まやかしだろう、と言い聞かせながら、ご飯を口に運んだ。
カーテンは今も揺れるスカートのように後ろで踊っていた。







無邪気さ、切なさ
似てるって、嬉しくて
ちょっと困る
今後は、不意打ちにあいたくないものだ




















エレナとジギーの+話は書いたことがなかったなーと思いまして。
でもあくまで+。

ネリとエレナはどこか通ずるものがある気がします。エレナのほうがすっと確りしているとは思うのですが、どこが活発なイメージがありまして、似てる気がします。
それを書きたくてこんな話しになりました。

でもパラレルならではのジキエレとか目覚めそうで怖いです。
いや、モクアンとかパラレルで目覚めてますが←
サンダーランド博士とエレナちゃんはAG話でも、絡みはあるかな、と思うんです。検診とかで。
だけどジギーとエレナはあったか、と考えると絡みがなさそうなんです。
ジギーさんは館長にハンティングされたようですので、微塵もない、とは言い切れませんが、ハンティング→館長時代、だとしたら無理かな、なんて。
あ、まて。
館長そんなに行き止まりの町に行ってるの?じゃぁ、ネリとの絡みは…‥謎ですね(笑)

おっと後書きが長くなりました。

もっくん話よりも速くできちゃったのでおさにupです。

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