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2年時の話。
アリアとエレナ
音大組 ホワイトデー
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今年も彼は沢山のチョコをもらっていた。
高校までのバレンタインの彼の様子は知らなかったけど、同じ大学に通うようになってから迎えた初めてのバレンタインでは驚いた。彼は数日バレンタイン生活だったのだ。もとい、一週間程チョコ生活だったのだ。
チョコ、チョコ、チョコばかりの袋を抱えた14日。翌日も1日遅れですがっ!といってまで渡されていた。人がいいからか、断ることができない彼は毎回きちんと受け取っていた。律儀に、「僕は‥あなたをそういう風に見ていませんが‥」だとか、「恋愛感情はないですが‥」なんてやんわりと、しかしはっきりと言いながら。それでも、女の子達は受け取ってもらえれば…‥と言っていた。お返しは期待しないで下さいね、と申し訳なさそうに苦笑するゴーシュにお話しできただけでも十分です、と頬を高揚させながら言っていたりと。乙女な女の子が沢山だった。
沢山チョコをもらっているのはゴーシュに限らず、ユウサリヒルズに住む男性陣にも言えた。ロイドさんも、ジギーも。三者三洋、沢山だったのでエレナちゃんと普段のお礼に、という名目で用意された義理チョコを渡しずらくて、夜9時頃に二人でアパートを回ってお邪魔したのは懐かしい。みんな色んな人からもらっていたから渡すのが気が引けたけど、3人とも私たちから無いのかと心配していた話をしてくれたのも今ではいい思い出。
そんな去年の経験をいかして、今年のバレンタインはチョコではなく、別のプレゼントをした。チョコばかりの生活って本当に苦しそうだから、ということで夕飯をエレナちゃんの部屋でみんなでいただいたのだ。もちろん、料理はわたしとエレナちゃんの手料理。賑やかな夕食は楽しかった。ちょっぴり、みんなでどこかを貸しきってもよかったかなぁ、と思ったりした。


そんなエレナちゃんと宅での夕食会のバレンタインデーは一ヶ月前の話。
今日は3月14日のホワイトデー。
これと言って何もなく、過ごしたと思う。きっと、ユウサリヒルズの男性陣のバレンタインと比べたら何もなく、過ぎたと言えると思う。本当に、行く手を阻まれているほど凄かったから。

ただ、私もエレナちゃんも鍵をかけていなかったロッカーにチョコを詰め込まれていたのを除けば。

年度末のこの時期、4月になれば大抵の人は進級する。進級するとロッカーは変わるのだ。だから3月にはロッカーをからにするように、また、鍵は学校が回収するというシステムをとっている。だから3月のロッカーはプライバシーなんてありやしない。お陰で空になるのだけれど。
そんなロッカーに帰り際、昨日試験だった課題曲の楽譜を入れていたな、と思って取りに行ったら開けた瞬間、雪崩が起きた。
目をぱちくりとしてから、ユウサリヒルズのメンバーにしかチョコをあげてなかったのに、と驚きつつ、色とりどりの小箱を拾った。お父さんとかにも送ったけど、お父さんがこんなことをする柄じゃ無いのはわかってる。
差出人不明のチョコに頭を悩ませたのが、今日の夕刻の事だ。
チョコに頭を悩ませつつ、初めて本当にチョコに悩んでる貰い手の気持ちがわかったとか、いらぬことを思う。
どうにか拾い上げた頃に、エレナちゃんがやってきた。視界が箱で埋まっているので、アリアー!という呼び掛けでようやく気付く。
最近髪が伸びた彼女は、ミツアミをしついる。細くてちょこっとだけのミツアミは、ソバカスがキュートな彼女に似合っている。


「今帰りー?って、すごっ!」
「うん、帰りー。初めて沢山もらう人の辛さをわかった気がするの」
「確かにね…」


頷いたエレナちゃんは、置き勉している。先週から少しづつ教科書を持って帰っていたから、今日はこれから最後の教科書を取りに来たのかなと思った。
案の定、ロッカーを開けた。

襲ってきた雪崩に目をパチパチとし続ける彼女に、すごい…と私も呟いた。
























むしろバレンタイン色強くないかとか
エレナ最後だけじゃんとか
アリア総受けなのかとか


突っ込み所は沢山だが、言いたいことは一つ。



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