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4:17



音パロ
モク(→)ネリ?
モク→ネリ→ジギ→アリ?(単にネリにはそうみえる)
ネリはジギーの故郷?実家?の孤児院にいます。
モック邸は孤児院にの近くです。(院は丘の頂、モック邸は中腹)
時はクリスマスです。


やたらとせつない
────────





ジギーが、大学の人を何人か連れて家に来た。もちろん、院のみんなで歓迎した。そして向こうも近づきの印にアンサンブルをしてくれた。
だけど、どうしても1人だけ俺は歓迎できないでいたんだ。


孤児院は素敵に飾りつけられているのに、俺の心はその飾りが貧しさを象徴しているようにしか見えなかった。精一杯、紙の輪で作った鎖を連ねて作った飾りに柔らかい専用の紙で作ったお花。院の机を列ねて大きくしたテーブルの上には綺麗なテーブルクロス。その上には料理と花。院にしては豪華な夕飯が並んでい るのだ。唐揚げ,
ポストにご飯ビーフシチュー。なんて豪華。
キラキラ輝いているのは院のメンバーの瞳か料理か。
少なくとも俺には三日間分の院の食事の量に見えた。中央にある花は綺麗に生けられた生花。本当にこの空間は素敵だし、綺麗だし、一般家庭の飾りだって変わらないのに。学校の転校生の歓迎会なんかの飾りだって変わらないのに。
こんなに素敵なのに今の院の飾りがクリスマスの飾りになんて見えなかった。
ジギーが、クリスマスにやって来たのは嬉しかった。だからこの院でのクリスマスパーティーは何よりも嬉しかったし、久しぶりに聞いたジギーのトランペットは格好よくてたまらなかったのに。
ジギーの夢は一流になることなのに、ジギーが目で追う先には金髪碧眼の美人がいた。
それは同じ大学の同じアパートに住んでる人。アリアという名の人。



何なんだよ、と思ってしまう。



なんでジギーの視線を受けて、院の奴らと笑いあっていられるんだ。ビーフシチューをおいしわね、なんて言いながら平然と食べられるんだ。
俺なら、ジギーの視線に気づけるのに。そう思って、もやもやしたんだ。
ジギーと話せたのは嬉しかったし、幸せだったけど、でもその会話中すら彼は上の空だったんだ。憧れの彼が、そんなんだったから俺はもやもやして、むしゃくしゃして、夜中、院を抜け出した。


近くの公園に行ったら、何故だか知らないけど、同じように家から抜け出したモックがいたんだ。
ブランコに座ってた。地についた足で小さく、ブランコを漕いでいた。それは、小さな希望を足に託しているように俺には見える。

「よぉ、モック」
「あぁ」

とりあえず空いている隣のブランコに座って、なんでここにいるか聞いたら奴はいつものように答えた。別に。何もないさ。と。
それはいつもの事だ。モックは何かあっても、話さない。
だから代わりに俺は聞いてくれ、と言って院のクリスマスパーティーの愚痴を溢した。ジギーが来るのは嬉しかった事。だけど、ジギーは上の空であること。それにもやもやしたこと。
その最中、突然モックが立ち上がった。無言でこちらも見ずに暗闇の中に歩いていくので思わず叫んだ。

「お、おい、モック!」
「…‥トイレくらいいかせろ」
「あっ、ごめ!じゃぁ!ついてく!」
「男子トイレにか、バカ女」
「トイレの入り口辺りに行くのは構わねぇだろ。」
「勝手にすれば」

こちらを見ずにさっさとモックはトイレに歩いていく。月は雲で隠れていて、少ない外灯の近くにあるトイレは明るい。
慌ててブランコから飛び降りると自分がじゃり、と砂を踏む音が耳に届く。
ブランコの前にある柵を跨いで追いかけると、モックはトイレの白い壁に入っていく。
ったく、とぼやきながらトイレに着くと壁にもたれてジギーがさ、と話を続けた。



「ジギーはなんであんなやつをじっとひたむきにみつめてるんだよ、なんでこっち向いてくれないんだよなぁ、モック、何でだと思う?」

「さぁな」


トイレの壁の間から出てきたモックは外灯の光を受けて白い肌がさらに白くなっている気がした。


「今日のお前って冷たいよなぁーモック」
「いつもだろ、こんなん」
「いつもより冷たいぜ?なんかあったのか?」
「なんも」


何もないさ。呟いた、モックの目は剣呑だった。一重な彼は元々目付きは少なからず鋭いに、今日はさらに鋭い剣呑のもになってるのに気付けなかった。自分の事ばかり言っていて、気付けなかった。

「おい、モック」
「ネリ、うるさい」

いい加減黙れよ。呟くようにモックが言うと、そのまま彼に両手が塞がれた。後ろには壁で無意識に後ずさっても、逃げ場は無かった。



何があった?
俺が何かしたのか?

聞く間もなく口も塞がれた。モックは俺がジギーが好きなこと知っているのに何で、なんていう思考は逃げなきゃ、という思考に切り替わる。
もがいても抵抗は消されるし、噛みつくような口付けにくらくらする。
それでも、逃げなきゃ。残った思考はそれだけでどうにか相手をはね除けた。
息が上がった状態で公園を駆け抜ける。夜空の月はいつの間にか姿を表していた。


公園を出て、家こと院に向かって走った。
だけど、次第に足取りは落ちて、とぼとぼと歩いた。
あいつがお坊ちゃんで力が無くてよかっただとか、日頃男友達と遊んでいてよかった、なんて思う。だけど最終的にはジギーが離れなくなってしまった。



(ファーストキスくらい、ジギーとしたかったのに。)



何をされたかわかって整理された頭ではそれが一番だった。
モックのばか。
思わず口から漏れた。
モックは知ってるのになんであんなことをしたんだよ馬鹿。
信頼してるから相談してるのになんで冷たいんだよ馬鹿。
なんでだよ、馬鹿。
モックに対する罵りが沢山浮かんでは消えた。
きっと、モックがあんな行動に出たのは理由がある。冷静になれば色々見えた。
俺に原因があったのかもしれない。
だってあんな怒ったような目をしていたし、いつもより冷たかったし。なのに俺はいつものようにジギーの事を相談したからモックはあんな風に動いたのかな、なんて。
夜風に吹かれて冷めた頭で思った。
こんなに一つの事にうじうじするのも俺らしくもない。
ため息を一つ吐いて、意を決める。 そうして宣言する。


「さっきは何でもない。感情の事故。ジギーがあの女を好いてても、俺は諦めない!」


整理した気持ちを言葉にして、今度はモックの豪邸に足を向けて地を蹴った。
あいつの様子が変だったのは事実だし、友達なら相談にのるのは当たり前だ。
あいつの部屋には石榴の木から侵入出来るから、急げ、と走る。


侵入手段の石榴の木を見上げると月が見えた。ぽっかり浮かぶ月の周りに雲は一切無くて、変わりに隠れ続けている星はどうやら見えなさそうな夜だな、とおもった。












アリアさんは実は熱がある中孤児院に来てて、単にジギーはその心配をしててアリアさんを見てるのですが(他メンバーも心配そうに眺めてます、多分)ネリにはジギ→アリに見えたと言う(笑)
そしてそれをぐちぐちモックに言うけど、その内容はモックからしたらモク→ネリな自分の片想いでしかなくてイラッとしちゃった話です。
ネリの紹介を書いてから出したかったのですが、まだまだ書き上がらなさそうなのでもう公開(笑)




2月頭に試験を控えてます。それが終わったら原稿に勤しむ予定です。
更新頻度は皆無かもしれません。悪しからず。


ただいまは姫君達の晩餐シリーズ最新刊にノックアウトです。どのCPも甘すギル!
とりあえず鳥珀が鳥珀が!広早が!広早が!
今回一番出番少ないのは王新だけど挿し絵であめー!本当にたまらないなにあの糖度。ついったでも叫びましたが、当分私は収まらないんだな、きっと。
ちなみに連理と北の王も好きです。亥縒と嵐座も好きです(かなりマイナーじゃね?)
叫んでも叫び足りないくらい、甘かったです。流石山咲黒さん。ありがとう。(ジャンル外語りすいません。)

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