▼ !!! NIGHTMARE OF HALLOWEEN !!! ∵
その時、腰のあたりに違和感を感じて、おれは眉をしかめた。恐る恐る手を伸ばしてみると、普通ズボンのポケットがついている場所に、銀紙に包まれた棒きれのようなものが突っ込まれていた。
大きさ、形からして、なんとなく察しはついた。だけど、おれは静かにそれを目の前に持ってきて、包み紙を指先で丁寧に開いた。
今まで見た中で、一番うまそうなチョコバーだった。砂糖でアイシングがしてあって、ジャック・オー・ランタンとハッピーハロウィンの文字がきらきらしている。
“ハリソンのチョコバー”そんな言葉が、おれの頭をかすめて消えていった。
女中が呻くのをやめて、チョコバーを取り上げる前に、おれはチョコバーを一口かじった。
口の中に、甘ったるい味が広がった。不思議な気持ちがした。その感じは、あえて深く考えないでおく。
おれはもう一度頭から毛布をかぶって、朝日のドームの中で丸まった。
たしか、今日はハロウィンだ。どうせ伯爵から手紙が届いて、屋敷でハロウィンパーティーをしようと誘われるんだろう。
それだったら、めいっぱい体力をつけておかなきゃな。
だからおれは、もう一度、眠ることにした。
そして、おれは願ったんだ。
どうかどうか、今度こそ
こわい夢が、見れますように!
!!! NIGHTMARE
OF
HALLOWEEN !!!
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