Short Novel | ナノ


▼ !!! NIGHTMARE OF HALLOWEEN !!! 

第七章 STATE OF EMERGENCY !!

 セイは手当たりしだいに家々を回っていくことから、おれたちは別行動を選んで、アランの知り合いの家だけを回ることにした。別れ際にセイから菓子をわけてもらったけど、大半はすでにかじられていた。
 ランスさん、ドル爺さん、ボルドアさん、という知り合いのおっさんの家を回って、あといくつか玄関で呼び止められて知らない人からももらった。
 いつの間にかペラペラのハロウィンバッグはパンパンで、ロビンはジャケットを脱いでその中に入れていたし、アルベールは大きな魔法使いのぼうしが第二のバッグにされていた。おれは、アランの親切で半分持ってもらっていた。
 これでもう充分なぐらい、ハロウィンを満喫したはずだ。あとはどっかで開かれているアップルボビングにでも参加して、ロビンをおぼれさせて帰ろう。
 センターをぐるっと回って、出口に近づいたころに、アランに礼を言って別れられれば最高だと思った。だけど、おれの望みはことごとく叶わないだろう。そういった点は、今までの人生ですでに思い知らされている。
 予言はみごと的中だった。案外うまくいくんじゃないか、と思って出口に急いでいたころ、突然どこからか耳障りなブザーが鳴り始めた。
 急に建物内の明かりがチカチカし始めて、やがて警告の赤い色で辺りは染められた。あちこちで悲鳴があがり、ハロウィンを満喫していた人々は血相を変えて家に駆け込んだり、飛び出したりしてきている。
「なんだ!?」
 大音量で流れる警告音の中で、アランが声をあげておれたちのそばに立った。もうすぐそこに見えていた受付の女性が、あわただしく手元の何かをはじく音がする。
 アランがおれたちに大丈夫と目くばせして、受付に駆け寄っていった。
「なにが起きたんです?」
「アラン君、上で暴動よ。非難する難民を公司が追い詰めているみたい。応援部隊が急いでいるけど……アンドリューは?」
「まだ家にいます。皆さんに家を出ないように伝えてください。ぼくが行きます」
「待って! 君が?」
 止めようとする受付の手を振り解き、アランが戻ってきた。その表情は戸口から出てきたときより険しくて、本当に同じ人なんだろうかと思うほど、鬼気迫るものがあった。
「いいかい、君たちも安全な所に逃げるんだ。もし本当に未来から来たのなら、今すぐ帰ったほうがいい! ここは安全だけど、外の世界はそんなに安全じゃない」
 おれは肩を持って揺さぶられて、無意識のうちにコクコクとうなづいていた。正直、緊急事態にビビっていた。
 危ないところじゃないって言ったの、うそじゃねぇか! おれがロビンのほうを睨むと、ロビンも眉を険しくつり上げていたが、その表情はちょっと面白がっているようにも見えた。


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