Short Novel | ナノ


▼ !!! NIGHTMARE OF HALLOWEEN !!! 

「なんだぁ、もっと面倒くさいことになってるんだな。ちょっと先輩に挨拶しにきただけなのに……まぁ、いいや。今日はハッピーハロウィーン! めいっぱい楽しもうよ!」
 なんだか納得できないうちに、能天気フランケンシュタインはベッドに飛び乗った。
 シンプルなベッドがギシギシと軋み、アランはあたふたしながら駆け寄っていく。おれはもう、どうにでもなれって感じだった。
「ね、ねぇ、ぼく、まだよくわかってないんだけど、君たちは未来人ってこと? それなら、これから先のぼくたちの行く末がわかるっていうの……?」
「うん、そうだよ。でも、それを話すことはできないんだ。僕らがキヨハルさんに会えないように、接触できる範囲は限られているからね」
 ハロウィンの魔法ってことにしといて☆ みたいなアホなこと言って、ロビンはベッドからぴょーんと飛び降りた。その時、部屋の扉が乱暴に開いた。
「トリックオアトリーート! アラン! 菓子よこせよなぁ!!」
 流れるような一連の発言とともに、ジャック・オー・ランタンを背負った少年が駆け込んできた。まず目に入ったのはすでにパンパンのハロウィンバッグで、その次に目に入ったのは、派手な水色の髪の毛だった。
 八重歯をニカッと光らせて、少年は手を突き出す。しかし、おれたちに気づいたのか、青い瞳がまん丸に開かれた。
「おっ? 新入りか、そいつら! 見ない顔だなぁ」
 そいつは大声で喚きながら(後にそれがこいつの通常なんだってことに気づくが)おれに近寄ってきた。
 まじまじと顔から足の先まで眺められて、おれはなんとなく恥ずかしくなった。
 自己紹介もできないでいるうちに、ロビンが間に入ってきた。ロビンはさっさと自己紹介をすませると(ミスター・フランケンシュタイン・ロビンらしい)早速仲良くなりやがった。
「トリック・オア・トリート! お菓子交換しようよ、セイ」
「おっ、いいぜ! でもなんでおれの名前知ってんの?」
 わいわいと騒ぐ二人を尻目に、おれはもう何度目かのアランとの無言の疑問符の交換を行った。
 だけど、その時ようやく自分も自己紹介をしていないということに気づき、おれはあわててアランに体ごと向きなおった。
「お、おれ、ダージリン。ダージリン・オータムナル」
「ダージリン? 面白い名前だね。ぼくはアラン。よろしく」
 おれたちは握手と軽い会釈で挨拶を終えた。なんか普通すぎて、変な感じだ。
「それで、そっちの子は?」
「あぁ、あいつはアルベール。アルベール・ブレスリン。無口で、まぁ……あのとおり、イヤミなやつだよ。で、あっちはロビン。ファミリーネームは知らないんだけど」
 おれは難なく説明しながら、ふと自分がものすごく非現実的なことをしているのに気づいた。異世界人と未来人の交流なんて、変人伯爵とメイドが聞いたら飛んで喜びそうなことだ。


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