Short Novel | ナノ


▼ !!! NIGHTMARE OF HALLOWEEN !!! 

 それだけだ、おれがわかったのは。次に気がついた時には、キンモクセイの庭から、見たこともない街並みに三人で立っていた。
 どっかの遺跡からそのまんま岩を削ってきたみたいな、不思議な建物が何列も並んでいる。街灯がこうこうと照っているおかげで辺りは明るかったが、時間が夜なのか、空は黒く闇に満ちていた。
 世界を、飛び越えた。それは認知できたけれど、おれたちがどこの世界に現れたのかは、まったくわからない。
 ただ一人、フランケンシュタインは知っていた。満足げにおれの背景を眺める黒と緑の目は、きらきらと輝いている。
「どうだ!」
 無神経なその言葉で、おれの限界はぶち切れた。
「ばっ……なんてことすんだよ!! ハロウィンなんて近所から菓子かっぱらえばいいだけじゃないか! いくらなんでも異世界まで飛び出すことないだろ!?」
 勢いに任せてロビンの胸ぐらを掴むと、ロビンはぷうっと両頬をふくらませた。このやろう、かわい子ぶってるつもりか。
「おまえも黙ってないでなんか言えよ、アルベール!」
「寒い。」
「おれだって寒いよ、バカ!」
 片やとんでもない事態を引き起こしたことに気づいていないアホつぎはぎ男、片やまともに会話すらできないエセ魔法使い。おれは一体どうすればいいんだ。
 とりあえずアホ一匹に往復ビンタをくらわして、おれは落ち着いた。もとの世界では肌寒かったドラキュラ公の衣装が、暑苦しく感じる。
 どんなに怒鳴ったって事態は変わりやしない。てっとり早く非現実的なことから抜け出すには、当事者を満足させるしか、ないわけだ。



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