呑み込んだ想いは苦くて


べろり、と音がしそうだ、と思った。焼けそうに熱い源田の舌が身体中を這う。味なんてしないだろうに、それでもとても美味そうに俺を食らうのだ。
こういった行為の際、源田はいつもとまるで違うと思う。じゃあ、俺は?源田の目に映る俺は、どんな風なんだろうか。

かわいい、佐久間、佐久間。

聞かなくてもわかる。いや、何度も聞き過ぎてるからわかる。わかりきってる。こんな時の俺は大層かわいい、らしい。(あれだろうか。目に入れても痛くないとか、そんな感じだろうか。)
はっはっ、と荒い息をそのままに、源田は好き勝手に俺の中を荒らす。源田が俺の最奥に入り込む度、目の奥がチカチカして、瞼が焼き切れそうだ。身体中が熱い。源田の目に映っているのは、足をだらしなく開かされている裸の俺と、ぐちゃぐちゃになった性器と、その更に奥。もっとぐちゃぐちゃな、源田をくわえ込んでいる場所。

佐久間、俺の佐久間。
そう言って更に奥へ奥へ。これ以上は無理だって頭では思うのに、身体はどこまでも欲に忠実にずるずると呑み込んでいく。所詮中学生な俺達は、そうだ。そんなもんなんだろう。中学生男子なんて、みんな。

かわいい、かわいい佐久間。
もういいわかっただまれって言いたい。けど俺の口から出るのは、馬鹿みたいに高い声。あーとかうーとか、気色悪い声。奇声。女みたいに高くても、それは確かに男のもので。源田は何がそんなにいいんだろう。俺は嫌だ。あんあん言う男なんて。もし源田にあんあん言われても萎える。
こんな俺をかわいいなんて言う物好きの為に、俺は今日も気色悪い声であんあん言う。実際源田はそれで勃つし。声聞きたいとか言うし。最近は色々言わせたがるから引くけど。俺もなんだかんだ興奮してて、そんな自分自身にも引く。

「やーっ、あ、あっ、はっ、やだっ、」
「…佐久間、佐久間っ」
「んや、あっ、…んん!」

べろり、また頬を舐められた。俺はそれに反応し後ろをぎゅうぎゅうと締め付けてしまい、源田が息を詰めたのがわかった。舐めるのは、これが狙いなんだろうか。そりゃ締まると気持ちいいだろうし。だけどそれよりも、なんて言うかもっと本能的な何かでこいつは動いてるような気がする。俺はいつか本当に骨も残さず食われてしまうんじゃないだろうか。
ぐっと、足を胸につくくらいに持ち上げられる。正直つらい。ギラギラした源田の目で、限界が近いのがわかった。そのまま一度、亀頭が少しだけ引っかかる程度のギリギリまで引き抜かれ、そけからまた一気に押し込まれた。ずっずっという嫌な音と、パンパンと肌同士がぶつかる音がうるさい。だけどそれ以上にうるさい、俺の声。

「あーっ!んやっ、やだあっ、あっ、あ、ふっ」
「佐久間、かわいい、佐久間」
「げんだ、あっ、んあっ、げんだっ、げんだっ」
「佐久間、イキそうか?」
「もっい、く、イっちゃう、あ!げん、だっ、」

イく寸前、なるべく俺は源田の名前を呼ぶことにしている。源田は俺の名前をよく呼ぶから、俺が同じように呼べばほら、なんかお互いにすげえ近い感じ。源田に抱かれてるって、再確認出来るから。なんかこれ愛っぽいなあ、なんて思った。中学生の頭で考えられる愛なんて、こんなもんだと、俺は思う。


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テーマ「人外ファンタジー」
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