小さな指輪と手紙




悠一郎が私の部屋に来るなり
ベットにダイブする


「気持ちー!」


枕にしがみついてそのまま
夢の世界に行っちゃう悠一郎
いつもの事だからもう慣れた

ベットを取られた私は
いつもと同じように机に向かう
そこで本当ならぼーっとする
私だけど、今日は何となく
机の引き出しを開けて見た

特に何もないけど、ひとつ
だけ私の宝物を見つけた

私と悠一郎がまだ五歳の時
おもちゃ屋さんで見つけた
小さな指輪が欲しくて泣いて
いた私に悠一郎はこっそり
お金を貯めてその指輪を
買ってくれた


あの時のことはよく覚えてる
ばたばたと走って来た悠一郎の
片手に小さな指輪と手紙があった


『おまえ、これほしかったんだろ!』


今と変わらなく
にっこりと笑って
私に差し出すと小さかった
私は嬉しくて物凄く
喜んだんだよね


『てがみはあとでよめよ』


ほんのりほっぺを赤く
しながら言った小さな
悠一郎を思い出した
思わず頬が緩む

その手紙には
そのゆびわでけっこんしきな!

この一言が大きく
書かれているだけ
久々に読むと悠一郎可愛いなあ
なんてにやけそうになるのを抑えてると
背後から嬉しそうな声が聞こえた
寝てたはずなのに


「それ!まだ持っててくれたんだ」
「うん、大切な物だから」
「ふはっ、嬉しー」


そう言ってぎゅっと
私は抱きしめられた



小さな指輪と手紙


(その手紙)
(本気だからな!)

20100907.




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