カキーン ボールを打つ金属音は何度目だろう 今、私は野球部の練習を見に来てる 「うっしゃ!」 フェンス越しに見る悠一郎は遠い。 でも、野球してる姿は誰よりもかっこよくて 見惚れる。私のところだけ、時間が止まった ような感覚に陥る。 私達の関係はまだ幼馴染で 仲が良すぎて、好きって伝える ことが怖いと思ってしまっている きゅっとフェンスをつかむ 「よ、」 「そろそろ、バイトの時間だよ」 「うん、じゃ、行こっか!」 後ろからやさしく声が降ってきた 声の持ち主は浜ちゃん 実はバイト先が一緒だったりする 最後にちらっと振り返って 悠一郎、練習頑張れと浜ちゃんに 聞こえないくらい小さな声で言った この時、悠一郎が私と浜ちゃんが並んで歩く姿を 悲しい顔で見てたなんてちっとも気づかなかった フェンス越しにあなたを見つめるだけ (幼馴染の関係って切ない) 20081226. 加筆110514. |