まだ秋のはずなのに
夕方は息を吐くと白い


「さむっ」


誰もいない駐輪場で小さく震える
やっぱりまだ終わってないんだよね
と冷たくなった手をこする


「わりー!!遅くなった」
「ゆゆいちろっ?!」


軽快に走って来る音がして
悠一郎の声が聞こえたと思ったら
急に後ろから抱きつかれた


「寂しかった?てか、つめてー!」
「少しね。そりゃそうだよ、寒いんだもん」


しゃべると白い息が邪魔だなあなんて
思いつつ、笑ってみせると悠一郎が目
の前に来て私の手をとる


「手もつめてーじゃん」
「悠一郎はあったかいね」
「今まで練習だったしなっ!」


そういうと悠一郎は
手を更にぎゅっと握る

悠一郎を見ると、悠一郎
も私を見ていてどきっとしてしまう
目をそらせないでいると悠一郎は
いつものようにニシシと笑った


「これならあったけーだろ?」
「うん」


握っていた手を今度は
悠一郎の服のポケットに入れる

嬉しくてにやける顔を必死に抑えた



寒い日には温かいものを


(心から温かくなるのを感じた)

20081124.
加筆:110514.



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