かきーん
ボールを打った金属音がして
目を見開く。嬉しさにぐっと
手を握りしめた


「うっしゃ!」


とグランドからピースしてくる
悠一郎を見つけると、いつもの
ように私に笑顔を向けてくれる

フェンス越しに悠一郎に手を振ると
私は白い息を出しながら口パクで


「悠一郎、頑張って」
「おう!ありがとな」


今度はグーサインを出しながら
悠一郎は練習に戻って行った

それよりも悠一郎にあの口パク
が伝わったことに感激してたら

練習に戻ったはずの悠一郎が、
私の方へくるりと方向転換し


「お前のために頑張っから!」


と口パクで言う悠一郎に私の
顔はぽっと熱くなる
私のタメになんてところがぐっと
きたなあ、なんて幸せを噛みしめ
ながら悠一郎に笑顔を向けた
きっとゆるゆるな笑顔だったと思う


悠う一郎は急にグラウンドの方に走り
出したかと思うと叫びだした


「うおー!!ゲンミツに好きだー!!」
「・・・っ」


は、恥ずかしい!なんて恥ずかしい
ことを叫んじゃっているのー!
野球部のみんながいるのに

帰り際に野球部のみんなに
ニヤニヤ攻撃をくらったの
は言うまでもない。



グラウンドで叫ぶ好きの言葉


(私だって、好きだもん)
(グラウンドで叫ぶのは反則だ)

20081124.
加筆:110514.



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