おお振り(短編) | ナノ








俺の斜め前の席に座る
よく笑う女の子。笑った
時に顔がくしゃっとなっ
て無邪気に笑うのが凄く
良いと思った。


「!」


胸が急に強く脈を打つ
ような感じがして、胸
をおさえる。


「栄口ー」
「わ、あ。どうしたー?」


ついさっきまで斜め前に
いた彼女が目の前にいて
、気づいたら俺はマヌケ
な声を出していた。


「そっちこそ、どうしたのだよ」
「!・・・ちょ、」


彼女があまりにも近くに
いて椅子から落ちそうに
なった。彼女が俺の手を
引いて立たせる。栄口と
呼んで笑いながら。俺は
、彼女が栄口と呼んで自
然に笑うこの笑顔が好きだ。


「・・・さ、かえぐち?」
「ごめん、もう少しこのまま」

気付いたら、彼女を
抱きしめていた。
ふわり、のいい匂い
がする彼女の耳に顔
を近づけずっとこう
したかった。そう言う
と彼女は一瞬で顔が真
っ赤にる。


「今日の栄口なんか、」
「ん?」
「大人な雰囲気で緊張する」
「そう?」
「ああ、もう。調子狂うなあ」

まあ、そんな栄口も
私は好きだよ。と照れ
笑う彼女。


「うわあ、今のはダメだよ」
「ふは、いつもの栄口だー」


お腹を抱えて笑う彼女の
頬にキスをすると、頬を
おさえてふへへと笑った
。俺は口元をおさえて、
可愛いすぎと聞こえない
ように言った。



笑顔にやられました


(俺は彼女の笑顔に)
(弱いです。)

20110811.







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