俺と彼女の秘密



※わりと特殊設定です。地雷が多い方は引き返してください。静雄がビッチでヤリチンな感じかも。純粋な静雄君はいません。
読んだ後の苦情は受け付けません。忘れてください。



煌びやかなネオンがチカチカするこの通りは、いつも沢山の音と声で賑わっている。
視覚と聴覚を騒がしく刺激するここは、何度来ても慣れない。
元々、沢山の情報を取り入れるのは苦手なのだ、すぐにイライラするから。
ぶつかりそうになる肩も、馬鹿のように騒ぐ声も、煩わしくて、しょうがない。
それでも、ここへと定期的に来ているのは、理由があるからだ。


俺、平和島静雄には、いくつかの秘密がある。
俺は、男も女も愛せる、両性愛者である。
同性への好意を自覚したのはいつだったのか、あまり記憶はない。
それまでの恋愛対象は普通に女性であったし、セックスの対象も女性だった。
しかしある時、ゲイである男に「君、僕と同じ人種だよね?今晩どう?」と声を掛けられたのをきっかけに、気付いてしまった。
声を掛けられたその時は「違います」と言って逃げたのだが、家に帰り、冷静に考えてみたのだ。
小学、中学、高校、それから。
沢山の過去の記憶を引っ張り出してみれば、特定の男を視線で追っていた事に気が付いた。
女性への恋愛感情が当たり前だと思っていたから、その可能性を考えた事もなかったのだが、無意識ながら、気になる男は過去に何人かいたようだ。
去り際男は「外した事なかったのに、おかしいな」と言っていたが、実際は外れていなかったのだからすごい。
そうして次の日、同じ場所に行って、あの男を探した。
後日知ったのだが、たまたまブラブラと迷い込んだ場所が、どうやらゲイの出会い場として知られているバーの近くだったらしい。
普段活動しているのが池袋で、新宿に詳しくないが為、そんな所へ入り込んでいる事にまったく気付いていなかった。
相手を探していたその男は、そこであっさり見つかった。
自分がバイである事と、それを昨日知った事、それらを話して、色々教えて欲しいと言いに行ったのだ。
今思えば危険な行為であるけれど、俺は自分の身を守れる自信があったし、恐怖心はなかった。
相手の男は俺の外見が好みだったらしく、前日の逃げる様な態度に怒るでもなく、紳士的にエスコートされてしまった。
そんな扱いに慣れなんてあるはずもなく、戸惑うまま気付いたらホテルの中にいた時は、正直焦った、焦って挙動不審になったが、こればかりはしょうがない事だと思う、初心者だったのだ。
身長が180を超えている俺だが、この男がタチだったものだから、男相手の初めてのセックスは女役だった。
これがまた俺の体に合っていたらしく、数回その男とヤっている内に、ネコの快感を覚えてしまった。
それからは男に抱かれたいときはゲイバーへ、女を抱きたいときは普通の誘えるようなバーへ行くようになった。
ちなみに今の所、恋人はいない。
これは俺のもう一つの秘密と関係があるのだが、それはまぁ、今はどうでもいいだろう。


そんな俺は、今日も出会いを求めて、いつもの場所へと足を延ばしていた。
言っておくが、今までの言い方だと毎日のようにセックスしているような感じだが、そんな訳ではない。
現に今日だってこの場に来たのは久し振りだ。
久し振りである、今日は女を相手にしようか、男を相手にしようか。
どちらのバーも近いので、好みがいなければ場所を変えようか。
そう考えながらダラダラと歩いていると、不意に声を掛けられた。

「お兄さん」
「あ?…俺か?」
「そう。お兄さん、相手探してる?」
「あぁー…、まぁ」
「じゃあ、今日は私の相手してよ、ね?」

声を掛けてきたのは、非常に綺麗な女だった。
やや低めの声は、りん、と耳に響いて、心地よく耳を擽った。
小さい顔に、切れ長で色気を含む瞳、プルプルの唇。
それを覆う艶やかな黒髪は、肩甲骨辺りまであって、さらさらと流れている。
女性にしては身長が高いようだが、自分の身長が高い為、そこは気にならない。
むしろ、小さすぎる女性より、好ましいと思った。
最近は男性を相手にすることが多かったし、どちらにするかを決めかねていた所だ。
不満はない、と、俺は承諾の返事をした。
洒落たバーも近くに沢山あるし、酒を飲んでからの方が良いかと誘ったのだが、どうやら相手はセックスがしたいだけらしい。
「気を遣わなくていいよ、ホテル行こう」と胸を腕に押し付けながら、ぐいぐい足を進めてしまった。
予想外の力強さに少し足が縺れるが、美人に密着され、腕を引かれる事に悪い気はしなかった。
元々年上が好みで、リードしてくれる様な相手の方が好きなのだ。


そんなこんなで、相手は今、シャワー中である。
自分は家でシャワーを浴びて来たし、夏場でもないので、汗も掻いていない。
あまり必要性を感じなかったので、その旨を伝えると、女は「じゃあ私は入ってくるね」と浴室へと足を運んで行った。
それにしても、女を相手にするのなら、家でのアナル洗浄が無駄だった。
慣れて時間は昔ほど掛からないとはいえ、何だか損した気分だ。

「ごめんね、お待たせ」
「別に」
「思った通り、無口なんだね。平和島静雄君」
「…は?何で俺の名前…」
「知ってるよ。喧嘩人形、平和島静雄。新宿じゃ有名じゃないけど、池袋では有名だよねー」

ざわり、警戒心を剥き出しにする。
俺のもう一つの秘密、それは化け物である事。
小学生の頃、急に現れ始めた怪力は、使えば使う程、強くなっていった。
そして、怪我をすればする程、体は頑丈になっていった。
怒りの沸点も低くて、昔から喧嘩は絶えなかったし、自分の武勇伝を増やしたい馬鹿共は俺に喧嘩を売りに来るしで、特に高校生の時は荒れていた。
穏やかに、静かに過ごしたいと願うけれど、それはこの力が許してはくれない。
俺の力を知っている人間は当然俺を避けるし、よっぽどの事がなければ、関係を持とうとしない。
故に、俺の事を知らない人が集まる新宿は、都合が良かったと言うのに。
しかし、良く考えれば、池袋からは距離も近いわけで、池袋から来る者も、多いのかもしれない。
今まで全く合わなかったのが、逆に不思議だったのだ。

「知っていて、何で声を掛けた」
「あっ、別に危害を加えるとか、そういうんじゃないよ?ちょっと興味があったからさ、声掛けちゃったんだ。お兄さん綺麗だしさぁ、私の好み」
「セックスはする気ある、って事か。怖くねぇの?」
「怖くないよ。別に、初めてって訳じゃないでしょ?」
「は…?いや、まぁ、そうだけど」
「じゃあ、大丈夫じゃない。あ、私の名前、折原臨也って言うの。好きに呼んでね」
「ふぅん。変わった名前だな」
「それ、シズちゃんには言われたくないなぁ」
「シズちゃん!?」
「可愛いでしょ?」

にこり、綺麗に笑った臨也は、ベッドに座っていた俺の横に腰を下ろした。
シャワー後は薄着で出てきた為、薄いキャミソールから、柔らかそうな膨らみが見えている。
どうやらブラジャーはしていないらしい。
恐らくわざとなのだろうが、そういう物に弱いのが男だ。
挑発的に下から覗き込んでくる視線に応えて、少し強引にベッドへ押し倒した。
特に驚く事もなくシーツへと身を沈めた臨也の顔は、どこか楽しそうだ。
先程「初めてじゃない」と自分から言っていたくせに、俺が慣れていないと思っているような態度で、失礼な奴だと少しムッとする。
それでもおっぱいへの誘惑には敵わない訳で、俺は控えめなそこへと手を伸ばした。
ちゃんと力加減をして揉み込むと、ピクリと体が揺れる。
薄着で話し込んでいた為か、ぷくり立ち上がっている乳首も摘まんでみたが、どうにも反応が薄い。
態度からビッチだと思っていたが、胸の感度はあまり良くないようだし、演技をする気もないらしい。
未だに楽しそうにしている表情が面白くなくて、俺はさっさと進めようと、臨也の下半身へと腕を伸ばした。


「っぎゃぁ!」
「ちょっとー、叫んで飛び退くなんて、失礼じゃない?」
「お、おま、お前、なんだ、それ!」
「え?これ?ちんこ」
「何で女にちんこ生えてんだよ!」

ぺろり捲られた、パンツを穿いていないスカートの下には、立派なペニスがありました。
女にはないはずの温かい棒に触れて叫んでしまったが、見るまでは勘違いかも、と思っていたのだが。
恥ずかしげもなく見せられたのは、俺にも付いている男性の象徴だった。
女だと思って、ベッドに押し倒したのに、ペニスがあるって、どういう事なんだ、ちょっと、混乱が解けない。

「私ねぇ、シーメールなんだぁ。あ、シーメールって言うのは、アメリカの俗語でね、おっぱいとちんこあるニューハーフの事だよ」
「え、は?」
「ちなみにね、私おっぱいは付いてるけど、タチなの。だから、このおっぱいはホル注じゃなくて豊胸手術だよ。ホル注しちゃうと性欲薄くなるし、ちんこ使えなくなるし。ちなみに永久脱毛済みでーす。ちゃんと女として愛してねっ!あくまでニューハーフだから。ねぇ、シズちゃんはネコだよね?私、そういうアンテナしっかりしてるんだ。ネコでしょ?」
「え、あ、はぁ?」
「私ね、調べてる時からずっとシズちゃん鳴かせたかったんだ。あぁ、やっとシズちゃんに入れれるっ。可愛く鳴いてね?」
「ちょ、ま、…あっ、」

ベラベラ喋りながら迫ってくる臨也の剣幕に押され、この後美味しく頂かれたのは、言うまでもない。




数日後、俺たちは恋人になっていた。
体の相性がすごく良くて、あの後何度か会ったのだ。
臨也がぐいぐい押すタイプだったし、俺も臨也は気に入っていたので、最終的にお付き合いする事になったのである。
普通のニューハーフと同じく、女として男に愛されたい。
でも、セックスの時は愛する男を犯したい。
その矛盾した感情に、本人も悩んだそうだ。
しかし、その悩みもそう長くなかったらしい。
顔が良いのは昔から自覚していたようだし、そんな変わった性癖なのにも関わらず、相手には困らなかったそうだ。
これだからイケメンは。
それでも自分の求める相手にはなかなか巡り会えず、ふらふらする日々。
そんな中、情報屋の仕事をしている臨也は、たまたま俺のデータを取り扱ったらしい。
自分で言うのもなんだが、平和島静雄の名前は、一部では有名人だ。
情報はどんどん出て来たらしい。
それを集めて、まとめて、眺めている内に、気になって何度かこっそり現地へ見に来ていたそうだ。
何度か訪れ、喧嘩を見たり、仕事をしている所を見ている間に気に入った、との事だ。
ただのストーカーである。
しかしそんな臨也を今は俺も気に入ってるし、なんだかんだで隣にいる。
今はバーに足を向ける事もなく、臨也専用のネコだ。にゃーん。

臨也は普段から化粧をしている。
手術で胸があり、メラニー法で高い声を出している臨也は、どう見ても女だ。
デートの際手を繋いでも、腕を組んでも、普通のカップルである。
彼氏に甘える可愛い彼女と、強くて大きい彼氏。
芸能人の弟を持つ俺も、割と綺麗な顔だと言われる方だし、臨也は眉目秀麗。
人目を惹くカップルで、道行く人には「美男美女のカップルで羨ましい」なんて言われたりもする。
それが家に帰れば、俺がネコとして可愛がられるのだから、未だに違和感は拭えない。
更に仕事の関係上、臨也の方が金を持っている為、支払いはほぼ臨也である。
払おうとしても、出させてもらえないのだ。
一応周りの目と、俺を気遣ってなのか、俺専用の財布ごと渡してきて、俺に支払いはさせるのだが、どうにも恰好がつかない。
が、金がない物はしょうがない、金が腐る程あるそうなので、甘えておく。
そしてただ今、その違和感が拭えないような、セックス中である。
ほら、俺たち恋人同士ですし、セックスはそりゃしますよね、って事です。

「っ、はぁ、あ…」
「シズちゃん、乳首すっごく感度良いよね。可愛い」
「あっ、しつこ…いっ」
「わっ、」

基本的に、臨也の愛撫はしつこい。
べたべたと色んな所を撫でまわして、べろべろと色んな所を舐めてくる。
今日も今日とて、快感を拾いやすい俺の乳首をぐりぐりとしつこく遊んでくるもんだから、いい加減にしろと、小さく手を振った。
穴も十分解れた後だと言うのに、寸止めで正直余裕もなかったのだ。
その先でふにゅ、と当たったのは、臨也の胸。
わざと当てたのではないが、それを見た臨也は、にやぁ、と嫌な笑みを俺に向けた。
絶対に碌な事考えてない。

「やーだ、シズちゃん。おっぱい揉みたいの?ほらっ」
「は、ちょ、そういう訳じゃ…」
「って言いながらも揉んでるじゃん」
「いや…だって、普通に好きだし…」
「あんっ、シズちゃん、気持ちいーよぉ」
「気持ち悪い演技すんな」
「えー?まぁ、シズちゃん程気持ち良いとは感じないけどさ。ちゃんと感覚はあるし、ちょっとだけ感じてるんだよ?でも、シズちゃん敏感だから、私はシズちゃんのおっぱい大好きだよ」

言いながらちゅう、と乳首を吸われて、思わず腰が跳ねる。
ネコに目覚めた時から、割と乳首は敏感な方だった。
乳首で反応すると喜ぶ相手が多かったから、弄られることも多くて、開発されるのに時間は掛からなかった。
今では吸われるのが大好きでしょうがない。
きゅう、と強く吸われると、腰がずしりと重くなる。

「あぁ、あっ、ふぅ…」
「シズちゃん、入れるよ」
「うぁ、あっ」
「ふぁ、ぐちゅぐちゅ…シズちゃん中、きもちー…、あっ」
「ひっ、奥グリグリすんなっ、ぁっ」
「嘘言わないの。好きなくせに」

さらり、流れる黒髪を、耳に掛ける仕草は色っぽい。
邪魔な髪を後ろに流すと、がっしり俺の足を掴んでぐっと広げる。
体は柔らかい方だから出来る体制だが、本来男は女より固いんだ。
あまり無理な体制はちょっと勘弁していただきたい。
でも、本能のまま腰を振る臨也は、少し男っぽい色気もあって、結構好きだったりもする。
タチとはいえ、ニューハーフと言っている臨也には言えない事ではあるが。
そんな男らしくガツガツと腰を振る度、揺れる胸。
最初はそれに戸惑いもしたが、最近はそのアンバランスさに興奮を覚える様になってきた。
自分は変態だったのだろうか、と頭を抱えたくなる。

「はぁ、あ…、あぁっ」
「んっ、シズちゃんってば、女の子に突っこまれて感じちゃうなんて。変態さんだね」
「手前、には…言われたくねぇよ」
「そんな事言っちゃうー?」
「ひあぁっ、や、やめっ、あぁ!」
「んんっ、シズちゃんの中締まったぁ…、イっちゃう…、ね、シズちゃんも…」
「ああぁっ、やだっ、それやめ…うぁっ」

自分が気にしている事を指摘され、ムッとして言い返せば仕返しをされた。
前立腺を容赦なく刺激しながら、パンパンに膨らんだペニスの尿道へ、綺麗に整えられた爪を食い込ませたのだ。
それと一緒に親指と中指で膨らんだ先端をぐりぐりと押しつぶされたら、目の前がチカチカした。
限界が近い様である臨也の腰の動きは激しいし、ペニスへのダイレクトな刺激も強すぎて、俺は呆気なく絶頂へと達した。
はぁはぁ、と荒い息が二人分部屋に響いて、気怠い空気が漂う。
ぐたりと力を抜いた臨也は、覆い被さっていた体勢から、そのままぺしゃんと潰れて、俺の上に落ちてくる。
ふにゃ、と当たる胸が柔らかくて気持ちいい。

「シズちゃん」
「ん?」
「もう一ラウンド、いい?」
「はぁっ!?うわっ、ちょ、何でもう固く…やっ、あ…出せ馬鹿っ」
「むーりー!シズちゃん可愛いんだもん。ね?お願い」

俺の彼女はおっぱいが柔らかくて、すごく美人で、スタイルも良くて。
そして、絶倫です。
こんなのと付き合ってて良いのか、不安になるときもあるけど、まぁ、それとなく良い関係が続いているので、今のところは、このままでもいいかな、なんて。
でもやっぱり、おっぱいとちんこのアンバランスさへの、違和感と興奮に揺れてちょっと疲れる、かな、とも思う。
早く慣れたい。
臨也には色んな意味で、絶対言えないけど。



―――

ニューハーフについては一応調べてみたけれど、色々矛盾があるかもしれないです。そこはちょっとそっとしといてやってください。難しい…。けど楽しかったです満足!








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