バニーガールとバーテンダー


※注意 臨也さんがちょっとマニアックな物の女装をしています。大丈夫な方はどうぞ。





臨也の部屋に静雄が訪れて数分。
来て早々、ちょっと待っててねなんて言われて、ソファでプリンをもそもそ口に入れながら、待っている最中である。
自室に籠った臨也に対し、人を呼んでおきながら、などという怒りは今更芽生えない。
こんな事はしょっちゅうであり、その度プリンやらケーキやら、静雄が好きな甘い物で臨也はその時間を繋ぎとめているのだ。
仕事が予定より長引いたり、急な仕事が入るのを知っているので、わざわざそんな事をしなくても待ってやるのに、とは言葉にした事がない。
臨也を調子に乗せるのが気に入らないし、何より甘い物は嬉しいので、出てこなくなってはたまらない。
しかし、甘い物がないとここにいないと思われているのは、矛盾しているが少し気に入らないとも思っている。
静雄もなんだかんだ、臨也がちゃんと好きなのだ。
待たされたくらいでは、帰らないと言うのに。


「しーずちゃん、お待たせ」
「あぁ、…あ?」
「シズちゃんがバーテンだからさ。対になるかなぁ、って着てみちゃいましたー」


上機嫌に部屋から出てきたのは、ウサギさんだった。
黒のレオタードに、黒のタイツ。
腕には白いカフス、首には黒い蝶ネクタイが付いた付け襟。
頭には大きめの、黒く長い耳カチューシャが付けられていた。
所謂バニーガールの格好である。
女性が着るために作られているそれは、本来胸の形と体型が良く見えるよう、ワイヤー等でサポートする物なのだが、特注なのか胸の部分に膨らみはない。
しかし、ずり落ちないよう、通常通りコルセットの様な作りにはなっているようで、体のラインがはっきり出ている。
元々線が細く、男の割にくびれが少しある臨也には、変な違和感は少ない。


「どうどう?エロくない、これ」
「手前、マジでキモイな」
「えー、酷いなぁ。俺体型は良い方なんだけどなー」
「体型とかそういう問題じゃねぇよ。てか、そのぴっちりしたやつ、男には向いてねぇんじゃねぇの。めっちゃ、もっこりしてっけど」


静雄の指摘した通り、臨也の下半身も、上半身と同じく体にフィットしている。
勃起はしていないにしろ、女性とは体の作りが違うのだ。
性器が目立ってしまうのは仕方がない。
一応隠せるような専用の下着もあるのだが、臨也はあえて、それを使わなかった。
今日はこのままセックスに持ち込む予定であったし、ただ邪魔なだけである。


「やーだ、シズちゃんのエッチー」
「ぶっ殺すぞ」
「ところでシズちゃん。体に変化はない?」
「……手前、やっぱりプリンになんか入れたのか」
「うん。媚薬入れといた」
「ちっ、通りでやけにあちぃと思った」


臨也の格好にムラムラしたとは言えない。
恋人の過激な格好に、興奮したのは事実だが、薬を入れられていたのを良い事に、それは黙っておこうと静雄は決めた。
こんな変態と同類になるのは嫌だったのだ。
最近趣味が変な方向に走りそうになっている事を、認めたくはない。


「じゃあシズちゃん。うさぎさんと戯れてみようか?」
「…しょうがねぇから乗ってやる」
「素直じゃないなぁ」
「うるせぇ。さっさと気持ち良くしろ」
「可愛くないなぁ」


文句を言いながらも、静雄の唇へ落とされた口付けは優しい。
静雄が乗り気であるのに気付いている臨也は、厭らしく口の端を上げた。
「可愛くない」と言うのも、口だけである。
恥ずかしそうに視線を伏せている静雄は、それに気付かない。
上機嫌にベストとシャツのボタンを外した臨也は、そのまま上半身の愛撫から始めた。





「シズちゃん、大丈夫?」
「は、あ…も…、入れろ、よ」
「かーわいいね。じゃあシズちゃん、ここ触ってみて」
「なっ、」


長時間、しつこい程愛撫をされた静雄は、どろどろに溶かされていた。
そんな静雄の手を股間へと導いた臨也は、楽しそうに笑った。
熱く膨張しているそこには、目立たない切れ目が入っている。
それを疑問に思いつつも、握った臨也のそれに興奮を覚えた静雄は、快感と疑問で頭がぐるぐる回転していた。


「なに、不良品、か?」
「そんなわけないでしょ。特注だもの。わざとだよ」
「何のために…」
「そんなの、着たままシズちゃんに入れるために決まってるでしょ?さぁ、邪魔な俺の黒タイツ、股間部分破ってくれる?」
「え、あ…?」
「この隙間から指入れて。シズちゃんなら指先でタイツ破れるでしょ?タイツそのままだとシズちゃんに入れれないよ。ね?」


ウサギの耳を片手で直しながら、静雄の指をレオタードの股間にある隙間へ滑り込ませる。
静雄にとって訳の分からない要望を言われ、はくはくと口を動かす。
確かに静雄の力なら、狭い隙間に入れた指先だけで薄い黒タイツを破るなんて、簡単な事だろう。
しかし、なんだか、がっついているようで、指先に力を入れる事に躊躇った。
恥ずかしい、けれど、先程までぐずぐずに解された後ろは、無意識に開閉して臨也の挿入を望んでいる。
疼いて疼いて、仕方がないのだ。
臨也の熱い視線と、ねっとりと甘い声で名前を呼ばれて、ついに静雄は震える指で、タイツを裂いた。
ビィー、と小さく響いた音を聞いて、いけない事をしてしまったような感覚に陥る。
それに頬を赤くしていると、臨也はその隙間から、自分のペニスを取り出す。
まだ触っていないそれは、けれど厭らしく滑っていた。
素早くコンドームを装着するのを目の当たりにして、更に静雄は顔を熱くした。


「シズちゃん、足開いて」
「ん…」
「良い子」
「あ…、あぁー…!はぁ、ん」
「バニーガールに犯されてる気分はどう?バーテンダーさん」
「あく、しゅみだ」
「ははっ、知ってる、よ」
「ひっ、あ…」


なめらかな体のライン。
中性的な顔。
男を誘惑するバニーガール。
それらと不釣り合いなペニスが、容赦なく静雄を貫く。
そのちぐはぐな視覚的刺激に、静雄は目が離せなくなっていた。
息と声を荒げながら、ほぼ無意識に、じっと行為を見つめている。
腰も揺れて、自分から快楽を拾おうとしているのは、薬の影響だけだろうか。
とろり、溶けた瞳を向ける静雄を見て、ぞくぞくと背筋を快感が上る。
ウサギ耳のずれを直しつつ、臨也は頬を染めながら、腰を突きだした。


「あ、…シズちゃん、締めすぎ」
「ぃ、ぁ…あ、はぁ」
「きもち?ねぇシズちゃん…」
「見て、分かれよ…!手前、は?」
「良いに決まってんでしょ、見て分かれよ」
「あ…、ゃ…も、出るっ」
「ん、出しなよ」
「ぅあ、あ、…んんっ、」
「っぁ…、キツ…。てかこら、最後声我慢したでしょ」
「しら、ね」


がつがつ奥を突いて、ラストスパートと言わんばかりに腰を押し進めれば、静雄はあっさりと熱を放った。
その時の締め付けと、静雄の表情に臨也も持っていかれ、少し遅れて絶頂を迎える。
荒い息を繰り返しながらも、臨也はペニスを静雄のアナルから抜かない。
違和感を覚えて後ろに力を少し入れてみると、臨也のそれは萎えていなかった。
ゴム越しではあるが、確かに射精したはずだと、静雄はまたもや混乱する。
そんな分かりやすい表情を見て、悪戯っ子の様な笑みを見せた臨也は、ぐっとさらに奥へと押し入った。
ひゅっと細く息を吸った静雄は、再度訪れた快感の波に、飲まれる。


「なん、イったんじゃ…」
「媚薬。シズちゃんのよりは流石に薄いけどさ、俺も飲んだんだよね」
「はっ?!」
「明日はお互い休みだ。もっと、うさぎさんと戯れようよ、ね?バーテンさん」


赤く欲情した瞳が、本物のウサギみたいだと、激しく揺すられながら、ぼんやりと静雄は考えた。



―――

女装…?えろ手抜いてすみません(笑)
たぬ子さんお誕生日おめでとうございますー!








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