お姫様抱っこ



「臨也手前ぇぇぇ!待ちやがれぇぇぇぇ!」
「あははは、そんなにバタバタ走ったら、パンツ見えちゃうよー」
「スパッツぐらい穿いてるわボケ!」
「色気なーい!」


賑やかな昼休み。
それを更に賑やかにしているのが、折原臨也と、平和島静雄だ。
前を走る臨也は、黒い短ランを見せつける様にひらり、なびかせ、教室に人が避難して広くなった廊下で笑い声を響かせる。
後ろを走る静雄は、短くしたスカートを気にすることなくふわり、なびかせ、大声で吠えながら追いかける。
恋人同士となった今でも、この二人の鬼ごっこは終わらなかった。
元々短気な静雄と、口から生まれたような臨也。
衝突はもちろん多い。
関係が変わる前から比べれば大人しくなった方ではあるが、学校側の被害は未だに大きい。
今までの被害を考えると、穏やかな目で二人の関係を見守ろうとも思える様な頻度にはなったが、なくなったわけではないのだ。
今までの異常さに、感覚が鈍っているのかと、頭を抱える教師も数名いた。


「もー、シズちゃんってば相変わらず単細胞馬鹿なんだからー」
「うるせぇ、馬鹿って言った奴が馬鹿なんだよ!」
「あはははは、そんな事言っちゃう所が馬鹿なんだよ!まったく、可愛いなーシズちゃんは!これだから…」
「あっ!」
「え?」


臨也が楽しそうに独り言を言いつつ走っていると、後ろから言葉を遮るような形で静雄の声が入った。
足音もぴたり止まったので、くるり後ろを振り向くと、静雄は一瞬顔を顰めた後、逆方向へと走って行ってしまった。
これには臨也も驚いて、思わず「えっ、シズちゃん!?」と大声を出してしまう程である。
なんの理由もなく、追い駆けっこ中に静雄が臨也に背中を向けるなんて、今までなかったのだ。
慌てて臨也もその背中を追い駆けるようにUターンすると、静雄は携帯電話を耳に当てていた。
どこかに電話をしているらしい。
静雄が連絡をする相手など、大体想像がつく。
校内なのだから、新羅か門田あたりだろうが、先程の表情等を見るに、新羅でほぼ決定だろう。
体調でも悪くなったのだろうか、そう考えている間に、静雄はそのまま女子トイレの中へと入って行ってしまった。
まさか臨也が女子のトイレまで追い駆けて行く事も出来ず、おろおろとトイレ前の廊下で立ち尽くすしかない。
そんな情けない姿の臨也の前に、予想していた新羅が、携帯を片手に近付いてきた。
電話の相手は静雄だろう、「今着いたよ」という会話をしている。


「やぁ、臨也。何してるの?女子トイレの前で挙動不審な動きしていたら、女の子から逃げられちゃうよ?」
「別に、シズちゃん以外の女子なんてどうでもいいよ。ところで、新羅は何で…」
「新羅!ありがとな」
「あぁ、静雄。別に構わないよ。はい、これ」
「毎回わりぃな」
「まぁ、静雄は不順だからしかたないさ。早く替えておいで」
「おぉ」


まるで臨也がいないような形で進められる会話。
手渡されたポーチが何なのか、頭が上手く回転していない臨也には理解が出来なかった。
混乱する臨也をそのまま、静雄はそそくさとそのままトイレへと戻ってしまう。
彼女の後へと続き、その中身が何なのか問いたいところだが、どんな理由でも、やはり臨也が女子トイレに入るわけにはいかない。
もやもやしたものをぶつけるように、臨也の視線は、自然と新羅へと向いた。


「ねぇ、ちょっと、なんなの、アレ」
「あれ?」
「お前がシズちゃんに渡していたものだよ!」
「おやおや、デリカシーがないね。女泣かせの臨也とあろう者が!」
「はぁ?!」
「女子トイレで、ポーチ。これでなんとなく分かるでしょ?動揺して頭働いてないんじゃないの?」
「……もしかして、信じたくないけど、…生理用品?」
「正解!」


笑顔で高らかに言う新羅に対して、臨也はギチリ奥歯を鳴らした。
彼氏である自分ではなく、他の男を頼ったところが、気に入らなかったのだ。
しかも、静雄はやたらと新羅に心を許している。
それだけでも気に入らないと言うのに、女性が男性に触れて欲しくない話題である、生理の把握までされてはたまらない。
自分の知らない事を、他の男に任せられているなんて、我慢が出来なかった。


「何で新羅が、シズちゃんにそんな物渡しに来てんのさ」
「静雄から連絡貰ったからに決まっているでしょう?彼女の生理は不順でね。いつ来るか本人にも分からないみたい。それを相談してきたからさ、連絡くれればいつでも僕が持っていくよ、って言ってたんだ」
「え、なに、それいつから?」
「高校入ってから。静雄は僕が昔から医者を目指しているのを知っていたからね。ちょっと言いづらそうではあったけど、他の人に言うより良かったんでしょ」


静雄には友達が少ない。
怪力が恐れられているから、同性の人間なんて、特に寄ってこなかった。
周りにいるのは幼馴染である新羅と、面倒見のいい門田。
それから犬猿の仲であり、恋人でもある臨也ぐらいのものだ。
同じ女性同士ならば、生理についての相談や、物の貸し借りも出来るだろう。
しかしそんな人物がいないから、幼馴染で気が許せ、しかも医者希望である新羅に頼ったのだ。
男に生理の話などし辛いのは分かる。
分かってはいるのだが、それでもやはり、臨也は心の底から湧き上がる嫉妬を抑え込むことが出来ない。
敵対心剥きだしで、新羅を睨みつけた。
そんな視線を受け止めるも、新羅は変わらずの笑みであったが。


「新羅、ありがとな。助かった」
「あぁ、いいよ。はい、薬。痛みが来る前に飲んどいた方が良いよ。毎回酷いから」
「おぉ」
「…シズちゃん」
「何だ手前、いたのか」
「何で新羅なの!何で俺じゃないの!」
「………何が」
「生理の事!」
「馬鹿…!大声でそんな事言うなよっ、しーっ!」
「しー、じゃねぇよ可愛いな馬鹿!もーっ!」


臨也の発言に対し、顔を赤くして慌てる静雄に、地団駄を踏む。
静雄はトイレから出てきたばかりで、臨也と新羅の会話を知らない。
何が原因で怒っているのかも分からない静雄は、混乱するばかりである。
それでも珍しく余裕のない臨也は、そんな静雄の様子を汲み取る事も出来ないでいた。
嫉妬と、焦りと、苛立ちと。
これしきの事で、と思わなくもないが、臨也にとっては、大きな問題のように思えてしょうがなかったのだ。
理不尽だろうがなんだろうが、ムカつくものは、ムカつく。


「シズちゃんの彼氏は、俺だろう?!」
「は、…そう、だけど?」
「それなのに、俺じゃなくて新羅に頼るのはおかしいんじゃないかなぁ?」
「何…怒ってんだよ、お前」
「怒るよそりゃ。生理とかそういう大事な事は、俺に相談しなよ」
「お、おま…、そんな事相談できるわけねぇだろ!」
「新羅にはしてるじゃない!」
「新羅は医者だ!」
「まだ医者じゃないよ、ただの高校生じゃん!」
「でも他の男より相談しやすいだろ!」


ヒートアップしていく口喧嘩。
通常、野次馬でも集まりそうなものだが、この二人の場合だと人が減る。
口喧嘩から戦争の様な喧嘩へ発展してゆくのを知っているからだ。
巻き込まれたくないなら、自分を守りたいなら、逃げるのが一番である。
この学校に通っている生徒と教師は、この二人の喧嘩を長期間見て来た事によって、色々学んできたらしい。
人が減り、静かになってゆく廊下。
そこに響き渡る男女の声。
新羅は相変わらず、口も挟まずそんな二人を眺めているだけだ。
少し距離があるのは、危なくなってきたらすぐに逃げられるように、だろう。
そんな激しさを増す喧嘩の中、急に静雄が静かになり出した。
「おや、」と考えたのは、臨也ではなく新羅だ。
今の臨也は頭に血が上っていて、自分の言いたい事を言うのに必死で何も気付いていない。
様子がおかしいと、気付いた新羅が近くに寄った時にはもう、静雄はその場にしゃがみ込んでしまっていた。


「え、え…シズちゃん?」
「大丈夫かい、静雄」
「何、どうしたのシズちゃん」
「は、腹いてぇ…!」
「あっ、薬まだ飲んでないでしょ。今からでも飲んで。ちょっと効くまでに時間かかるかもしれないけど。あ、待って、キャップ開ける」
「悪い」


蹲った静雄に駆け寄った新羅は、静雄が握り締めたままだった薬とペットボトルを回収する。
かきゅ、とキャップを捻って渡し、もう片手で薬をフィルムから押し出す。
流れる様な連携で薬を喉に流し込んだ静雄は、それでも蹲ったまま動かない。
生理痛は人によってひどい痛みがあると臨也も聞いたことがあったが、こんな静雄を見るのは初めてだった。
所詮自分は男であって、女性にしかないその痛みは、分かる事が出来ない。
普段「痛い」など言わない静雄の口から聞こえたその単語と、苦痛に歪む顔を見て、オロオロと戸惑うばかりである。


「こんな場所で集まって、何してんだ」
「あ、ドタチン。いや、ちょっと…」


女子トイレの前で男二人と女一人、ぎゃあぎゃあと騒いでいたからか、最近ではすっかり世話係の門田が寄ってきた。
未だに一人動揺している臨也は、それでもこの男の登場に、小さく舌打ちをした。
最近の静雄は、この男への信頼を大きくしつつある。
確かに頼れる男であるし、包容力もある。
感情の変動が大きい静雄にとって、そんな人間は憧れると共に、頼りにしたい人間として写っているであろうことは分かっていた。
だから出来れば、あまり関わってほしくないと、正直思っている。
取られたくないのだ。
静雄にとって、魅力の大きいこの男に。


「…静雄?どうしたんだ?」
「静雄、お腹が痛いんだ。しばらくの間、動けないかもしれない」
「あー、じゃあ、こんな場所にいるのもなんだろ。保健室にでも行くか?ほら、静雄」
「…あ?」
「おんぶ、してやるから。ほら、乗れよ」
「はっ、え?いや、俺重いし…!」
「そんな細い体しといて、何言ってんだよ。ほら、辛いんだろ、早くしろ」


目聡く蹲っている静雄を見付け、新羅に話を聞いてすぐ、門田はしゃがんで静雄に背を向けた。
何事かと見守っていれば、「おんぶしてやる」だなんて、そんなイケメン発言。
かぁ、と頬を赤くした静雄は、ぶんぶんと首を振って、それを断っているが門田は引かない。
門田の言うとおり、静雄の体はあの馬鹿みたいな力がどこから発揮されているのか、分からないほどに細い。
そんな静雄を、力のある門田が背負う事など、簡単だろう。
しかし、静雄は単に、恥ずかしかったのだ。
他人と密着したことの少ない静雄だったし、まして異性とだなんて、考えられなかった。

そんな動こうとしない二人の間に入ったのは、しばらくの間静かに見守っていた臨也だった。
「ちょっとごめんね」
一応の断りを言って、静雄の背面から腕を回し、もう片方の腕を膝下に差し入れた。
そうしてそのまま全身に力を入れて立ち上がり、横抱きで静雄を持ち上げたのだ。
所謂お姫様抱っこをされた静雄は、思わず変な悲鳴を口から発し、落ちないようにと、無意識に臨也へとしがみ付く。
密着していた方が安定もしやすいし、珍しく静雄の体温が近くにあるし、臨也にとっては好都合である。


「臨也、その方法は長距離の運搬には向かないよ」
「知ってる。ここから保健室は遠くないだろ。シズちゃん軽いし、大丈夫さ」
「無理して静雄を落とさないでね?」
「はいはい、分かってるよ。じゃあね」


驚いて目を白黒させている静雄をそのまま、臨也は早速保健室へと足を進めていった。
機嫌の悪そうな、敵意むき出しの視線を頂いた二人は、小さく溜め息を吐いた。
大人ぶってはいるが、どこまでも子供のままだと、内心笑いながら。


「門田君にかっこいい所見せつけられて、悔しかったのかな?」
「さぁ。岸谷が静雄の面倒を見過ぎるからじゃないのか?」
「えー?そうかなぁ?まぁ、後は臨也に任せよう。嫌だなぁ、後で臨也から嫌味言われるのかなぁ」
「そうかもな」
「え、門田君も言われるよ?」
「何でだよ。俺は特に何もしていないだろう?」
「そういう風に、無自覚に静雄の前で男前を曝け出すから、臨也が怒るんじゃないかなぁ」
「お前には言われたくないな」


少し無理をして歩いているように見える、細い学ランの背中を見送りながら、二人は再度溜め息を吐いた。
つくづく、面倒な男だ、と。







「失礼します」
「あら、……あらあらあらっ、少女漫画みたいな登場して、どうしたの?」
「彼女、体調悪いみたいで。休ませてもらってもいいですか?」
「構わないわよ。ベッド、空いてるからどうぞ」
「ありがとうございます」


行儀悪くも、足でがらがらと扉を開けると、表情の柔らかい女性が出迎えてくれた。
この来神高校の、養護教諭だ。
三十代前半のこの女性は、「しっかり話を聞いてくれる明るい保健室の先生」として、特に女子生徒に人気である。
ちなみに厳しい所は厳しいので、授業にはしっかり出させるタイプのようで、サボリ組は寄り付きにくい。
その明るい先生は、ノックなしに扉が開いたことに驚いて、一瞬目を見開いた。
しかし、男女二人の姿を見て、パッと目を輝かせた。
どうやらこういったベタベタな、少女漫画の用な物が好きらしい。
女子生徒の恋愛話を親身に聞くのも、そう言った物が好きだから、なのかもしれない。
そんな事をぼんやり考えながら、臨也はそっと静雄を白いシーツの上へと降ろした。
腕と膝が痛いのは、情けないので言わないでおく。


「どんな風に体調が悪いの?」
「あ、いや、…ただの生理痛なん、です…。すいません」
「あら、謝る事なんてないし、恥ずかしがることもないわよ。お薬は飲んだ?」
「はい。飲みました」
「じゃあ、体をあっためて、少し休んでいきなさい。薬が効いてきたら、少しは楽になると思うわ」
「ありがとうございます」
「先生ちょっと用事で職員室に行ってくるけど、大丈夫かしら?」
「大丈夫です。俺、一緒にいるんで」
「そう。じゃあ、お留守番よろしくね」


臨也の言葉に、少し楽しそうにふふっ、と笑った先生は、机の上にあった書類の束を持って、保健室を出て行った。
カタン、と言う音がしたので、外に「外出中」の看板でも下げてくれたのだろう。
静雄と二人きりの時間を、他の生徒に邪魔されずに済むのは、臨也にとっても有難い。


「シズちゃん、良くなってきた?」
「え、あぁ、まぁな。横になったら、ちょっと落ち着いた」
「そう。良かった。……で、そんな体調悪い時に言うのも、なんなんだけどさ」
「あ?」
「俺は今、すごく怒っているんだからね」
「何でだよ」
「何で俺じゃなくて、新羅なの?シズちゃんの彼氏は俺でしょ?」
「はぁ?だから…!新羅は医者だから平気だけど、お前に、せ、せせせ生理の事とか言えるかよ!さっきも言っただろうが」
「新羅だってまだ医者じゃないでしょ!俺はシズちゃんの事なら何でも知っていたいし、何でもやりたい。他の男がそれをやっているのは、耐えられない」


なんて自分勝手な事を言っているのだろう、と静雄は思った。
女性にとって、生理の話なんて異性の前であまりしたくないし、あまり知られたくもない。
ましてや、相手が恋人とはいえ、犬猿の仲であった、折原臨也なのだ。
自分の弱っている所など、見せたくない。
そう思って、唯一傍にいて、あまり恥ずかしがることもなく、お願いが出来る新羅を頼りにしていたというのに。
うっかりその姿を見られてしまい、更にはその弱みも握ろうとする。
なんてデリカシーのない自分勝手な男だ、と思っている静雄は、臨也の異常な執着には気付いていない。


「お前、女の扱いに慣れてんじゃなかったのかよ…。デリカシーのない男だな」
「扱いには慣れているかもしれないけどさ。…いや、そういう問題じゃなくて!恋人の体調管理ぐらい、したいだろ?……その、俺の知らない所でさ、貧血で倒れられたりしても困るし」
「は?」
「女の子が恥ずかしがるような事を、他の男になんて頼むなよ。彼氏の俺だけにして」
「…………お前、意外とめんどくさい奴だな」
「悪かったね」


デリカシーのない事を、自分勝手な事を言っている自覚はあった。
それでも、ここは譲れない。
新羅と、門田に負けたくない、と臨也は必死になっていた。
静雄からの告白だったとはいえ、自信がないのだ。
あんな関係だった二人であるし、最近では静雄がどこかよそよそしい。
何かと不安であった。


「考えとく」
「え?」
「やっぱ、せ、生理…に関しては恥ずかしいし…。男のお前が、アレ持つのも嫌だろ?だから、本当は嫌だけど。お、お前がどうしても、って言うなら。…考えてやる」
「え、マジで?」
「なんだ、その顔。冗談だったのか。手前、マジで最悪…」
「冗談じゃない、冗談じゃないよ、本気だって!」
「それはそれでキモイな」
「酷くない?!…とにかく!次から、新羅じゃなくて、俺に連絡する事。わかった?」
「……まだ考えるだけって言ったもん。まだ分かんねぇ」
「はぁっ?!」


ぷい、と背中を向けて、薄っぺらい掛け布団に顔を埋めてしまったけれど、髪から覗く耳は、赤く染まっていた。
なんだかんだ言いつつ、静雄も満更じゃないようだ。
それが分かっただけでも、臨也的には少し満足である。
次回、約一か月後までに、何とか静雄を説得し、新羅への甘えを減少させなくては、と小さく溜め息を吐いた。

ぎしり、鳴ったパイプのベッドは古さを感じさせる。
その音にビクリと恐々反応した静雄だけれど、今は、まだ。
こうして髪に触れる事が出来れば、それで満足だ。
本当は下心をそのままに、静雄の上へと覆いかぶさってしまいたいと言う思念もある。
それでも今は、それをしない。
臨也自身、驚くほど、静雄の事を大切にしたいと思っている。
真っ白な彼女だから。
ゆっくりと距離を縮めたいと、思っているのだ。
静雄が今、何か隠し事をしているのも、確信ではないが、気付いている。
でも、それを自分から問いただすことはしない。
静雄が臨也の事を、信用していない事も、なんとなく分かっているからだ。
だからこそ、静雄本人が話せると信頼してから、その事を話してほしいと、臨也は思っていた。

お互いの思いを言わないまま、知らないまま、二人は少しずつ、擦れ違ってゆく。
恋愛に不器用な二人は、それでも近くにある体温に、満足そうに一人こっそり、微笑んだ。




―――

水菜様リクエストの、「私の初恋シリーズ」続編でした。
ドタチンがかっこいいと言うお言葉を頂いていたので、ドタチン出してみました。ちょっとだけでなんかすみません。
続編という事でしたが、ただの続編ではリクエストなのに申し訳ないな、と思って、一応続編っぽい番外編にしましたが、よろしかったでしょうか。あと、今回このシリーズでは初めての臨也視点でした。読みにくい等、何かありましたら連絡ください。

そして、サイト開設の頃からという事で、本当に…!嬉しすぎてなんかもう…!ありがとうございます。変なイザシズもちょっとありますし、相変わらずの亀更新ですが、これからも色々なイザシズで楽しんでいただけるよう頑張りますね。
リクエストありがとうございました。








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