にゃんにゃん公園


(イザシズ+αな感じの多分ギャグ)
(でもイザシズはおまけ)



『静雄、どうしてもお願いしたい事があるんだ。聞いてくれないか?』
セルティの持つPDAに打たれた文字。
それを見て首を傾げる静雄。
そんな静雄と必死なセルティを見ている新羅は、苦笑いを零すしかなかった。




数日前、セルティから静雄へ、メールで連絡が入った。
そのメールで次の休みを問われた静雄は、数日後にある日付を入力し、返信をする。
それに対しての返信は早く、「その日に家へ来てくれないか?お願いしたい事がある」と書いてあった。
親友のお願いなら聞いてやろうじゃないか、と内容も聞かずに、承諾をしたのだが。
そんな数日前を、静雄はたった今、少し後悔していた。


「あー、セルティ。それは俺じゃないとだめなのか?」
『あぁ』
「でもよ、ほら、俺よりもっと適役な友達がお前には沢山いるだろう?鍋の時一緒にいた学生とかよ。アイツらの方が似合うだろう?」
『静雄、お前が良いんだ。私は、お前とお揃いになりたいんだ!嫌か?』


顔はないが、落ち込んでしまったような雰囲気を出す彼女に、静雄も困り果てる。
大切な大切な、親友。
そんな彼女のお願いを聞いてあげたい。
自分に出来る事なら、なんでもやろう。
そう思って家へお邪魔したのだけれど。
その内容が、素直に引き受ける事の出来ない事だった。
そのお願いと言うのが、

「でも、俺にネコ耳は…。似合わねぇだろ」

ネコ耳でお揃いをしたい、だった。




セルティには首から上がない。
デュラハンというアイルランドに住む妖精である彼女は、昔大事に抱えていた首をなくしてしまった。
それを追って日本へ来たものの、いまだに見つかってはいない。
まさか首がないまま外へ出る事も出来ず、せめてと思いヘルメットを装着しているのが現状。
黄色いそのヘルメットは、上の左右が飛び出ており、ネコの耳の様な作りをしている。
元々可愛い物が好きな彼女は、その形を気に入っていた。
そんなネコ耳を、自分の大好きな静雄とお揃いにしたい、と思ったのは最近の事。
色違いだとか、双子ルックだとか、そんなものをネットで目にして、羨ましい、と思ったのだ。


「そもそも、ネコ耳って、どうやんだよ。カチューシャか?」
「静雄、僕の存在を忘れてもらっちゃ困るなぁ。セルティのお願いなんだ。必死で作ったよ、ネコ耳が生える薬をさ!」
「手前ぇ、何てモン作ってんだ。馬鹿なのか」
「あいたたたたたた!助けてセルティ!あああああああ!」
『し、静雄、落ち着いてくれ!ごめんな、無理なお願いをして』
「や…べ、別に…」
『静雄が困るのは分かっていたんだ。でも、どうしても私は、お前とネコ耳がしたかったんだ。池袋の化け物コンビ、って言われているのをネットで見てな?私とお前がコンビなら、コンビらしく何かお揃いをしてみたくてだな、それでだな、その、ネコ耳!可愛いじゃないか!』
「落ち着けよ、日本語おかしいぞ」


興奮気味で静雄に訴えかけるセルティを見て、降参だ、と溜め息を吐く。
「わかった、薬飲む」
渋々ながら、頷いたのを見て、影を濃くしながら喜ぶセルティを、新羅は今日もうっとりと見つめていた。






『あああああ、静雄!可愛いな!耳も尻尾も、もっふもふだ!』
「擽ってぇよ。あ?セルティ、その尻尾どうした?」
『あぁ、影で作ってみたんだ。お揃いだ』
「はは、可愛いな」
『ありがとう』


もふもふとした、髪の色と一緒の耳。
同じく柔らかい金の色をした尻尾。
ぴこぴこ動くその耳と、ゆらゆら揺れる尻尾に興奮するセルティにも、黒い尻尾がついていた。
影を操り、自由に動かせるらしい。
始めこそ渋っていた静雄だが、なんだかんだ気に入っているようだ。
上機嫌でセルティの尻尾を触ったり、自分の耳や尻尾を弄っている。
そんな和やかな空気になる二人を、面白くないような目で見る新羅。
俺だってお揃いだもんね!と言って付けた黒いネコ耳のカチューシャは、見事にスルーされている。


『そうだ、静雄。ちょっと出掛けないか?』
「は?このままで?」
『あぁ。最近、猫が沢山集まっている公園を見付けてな。そこに一緒に行きたいんだ。お前、動物好きだろう?』
「好き、だけど…。このまま外に出るのは…」


静雄はどちらかと言えば犬派だ。
でも、可愛い猫も好きだった。
猫が沢山いる公園。
その空間を想像して、うんうん唸る。
行きたい、その場所に。
でも、こんな獣の耳と尻尾が生えたまま外に出て、人に見られるのも、嫌だった。
どうしようか、と新羅に目を向け「なぁ、新羅?」と声を掛ければ、あからさまに拗ねた顔で、そっぽを向かれてしまった。


「好きにしなよ。ふーんだ」
「…何拗ねてんだよ。別に俺がセルティを取るわけじゃないし。なぁ?」
『そうだぞ、新羅。帰ってきたらまた猫で構ってやるから』
「本当かいセルティ!約束だよ!いってらっしゃい!」
「身代わり早っ!いってらっしゃいって…!」
「なんだい、セルティの可愛いお願いが聞けないって言うのかい!酷い男だね、君は!こんなに愛らしい姿で「お願いっ」って言ってるじゃないか!ちょっと羨ましいとか、そんなの、思ってないんだからねっ。僕も言ってほしいとか、思ってないんだからねっ!そんな羨ましい言葉を言ってもらったって言うのに、静雄、君は…」
「うっるせぇぇぇぇぇ!分かった、行くよ!」
『ありがとう、静雄!じゃあ、ちょっと行ってくるな、新羅。あとお前ツンデレキャラ似合わないな』
「いってらっしゃい。ツンデレはセルティの特権だから、別に僕に似合わなくても、いたたた痛いセルティ!」


わくわくとした様子で静雄の腕を取り、玄関へ足を向けるセルティ。
腕を引かれる静雄は、諦めたような顔をしていた。
そんな二人を、ひらひら手を振りながら見送る新羅の脳内は、既に猫姿で自分を挑発するセルティでいっぱいだった。






「う、おおおおおお…。子猫も、いるのか…」
『可愛いだろう?』
「おわわわ、寄ってきた!おぉ…」
『ここの猫、人懐っこいんだ。あ、静雄動かないで。写真撮る』
「やめろよ、恥ずかしい」
『う、動かないでくれ!あぁ、可愛い!』


にゃーみゃー言いながら、わらわら出てくる猫たち。
いつもこんな感じでセルティにもじゃれてくるようで、慣れたように猫を撫でる。
一方静雄は、小さい体を傷付けたら、と思い上手く動けないでいた。
可愛いと目を輝かせつつも、触る事の出来ないもどかしさと戦う。
そんな静雄にお構いなしに、纏わりつくように猫は寄ってくる。
たしたしと足を叩いたり、爪を活用してよじ登ったり、ゆらゆら揺れる静雄の尻尾を狙ったり、猫たちは自由奔放である。
そんなじゃれ合いを、嬉しそうにカメラに収めるセルティの姿は、可愛い子供を撮る事に必死な親の様だった。



「あれれー?セルっちとシズちゃん?」
「おぉ、静雄。久し振り、だ、な…」
「なんすか、なんすか!その萌オプションは!出来れば貧乳ツンデレ女子高生に付いててほしかったっすけど、静雄さんもなかなか可愛いっすねぇ!」
「きゃぁぁぁぁリアルネコ耳!池袋の萌が今ここに!」
「お前、どうしたんだ?その頭と尻尾」
「お、おぉ、門田」


ひょっこり現れたのは、いつもワゴンで移動しているメンバーだった。
運転席にいる渡草は、どうやら本日コンサートで欠席らしい。
騒がしく近寄ってきたその面子には、正直会いたくなかった、と静雄は思った。
特に仲の良さそうな男女二人は、呪文を並べて何を言っているのか分からないのだ。
正直、同窓である門田がいなければ、会話にならない。
そんな男女二人組は、静雄とセルティの姿に興奮しているようで、相変わらず何を言っているのか、静雄には理解が出来なかった。


「セルティのお願いでな。ネコ耳でお揃いがしたい、って言うから。新羅の薬で生やした」
「岸谷も相変わらず変な事やってんのな。それ本物なのか」
「あぁ、動くぞ。むしろ、なんか勝手に動く」
「感情に合わせて無意識に動いてんじゃねぇか?」
『可愛いだろう?あ、そうだ!静雄と一緒に写真を撮りたいんだ。お願いできないだろうか?』
「あぁ、お安い御用だ。ほら、並んでしゃがめよ」


腰を下ろしている俺の隣に、すとんとしゃがみこんだセルティ。
猫はセルティにも群がる。
そんな二人をフレームに収め、シャッターを押して、門田は撮れたそれをセルティに見せた。
自然体で、なかなかいい写りだ。

のほほん、とした空気の中、シズちゃんほら見て!と嬉々とした声が響く。
そちらに目を向ければ、爛々とした目で猫じゃらしを持っている狩沢の姿が。
もさもさとしたそれを、ひょいひょい、と静雄の目の前で揺らして見せた。


「お前、そんな物、気になるわけ、ないだろ」
「ああああん、そんな事言いながら目が猫じゃらしを追ってるぅぅぅ!」
「ぅっ、あっ、なんか…、やめろっ、動かすなっ!」
「静雄さん!なんかその言い方はエロいっす!ダメっすよ、狩沢さんを刺激しちゃ!」
「きゃぁぁぁ、何その言い方、えろ、エロいぃぃぃぃ!わかった、シズちゃんは受けだったんだね!」
「ほら、もぉー。もうノンストップ狩沢っすよ、これは」
「あっ、ちょ、手が勝手に動く!」
「ほーらほら、こっちだよー。ああああああ可愛いー!」
『本物の猫みたいで可愛いぞ、静雄!わ、私もやりたい!』
「いいよ、はい。もう一本あるから。ほーれほれ」
「あっ、二本も…!うぅぅ…」
「だから、静雄さん声がエロいって」


きゃっきゃ、と無邪気に猫じゃらしを振る女性二人。
その動く物を、本能的に目で追い、体を動かす静雄。
ばしん、ばしん、と静雄が地面を猫手で叩くと、重たい音がした。
静雄が叩いているのだ、無理もない。
そんな静雄の動きを、静かに見ていた門田だが、おもむろに鞄を漁ったと思ったら、小さなボールを取り出した。
何故そんな物が入っていたかは、謎だ。


「静雄!こっちはボールだぞ!」
「ボールとか、別に…うわぁぁぁぁ、転がってるのが気になるぅ!また体が勝手に…!」
『ボールにじゃれ付く静雄!萌え!可愛いぞ!あ、ムービーで撮ろう』
「ドタチンも動物とか好きだもんねー。気になってしょうがなかったんだ」
「おぉ、すげぇ楽しそうだな。もっと大きいボールがあればよかったんだが。まぁ、しょうがないか」
「本物の猫も寄ってきてますね。なんすか、ここは猫の国っすか」


ころころ転がるボールは三つ。
動く球体が気になってしょうがない静雄と猫たちは、一緒になってそれに寄って行く。
同時にセルティと狩沢も猫じゃらしを止めないものだから、静雄は落ち着かず、きょどきょどしながら動いている。
あれも気になるし、これも気になる。
揺れているセルティの尻尾まで気になってきた。
このままではそれを掴んで噛みついてしまいそうだ、とうずうずしだしたところで、ばしん、と猫じゃらしを捕まえる。
ふさふさしているそれをがじがじしながら、セルティの尻尾への意識は、なんとか逸らした。
セルティを傷付けたりしたくないので、意識が逸れた事に、ホッと息を吐く。


『し、静雄!そんなの噛んじゃだめだ、ぺっしなさい!』
「あ…、おぉ、すまん」
「ちょっと回収するっすよ。なんか静雄さんお疲れみたいですし」
「予想以上のはしゃぎっぷりだったな」
「ち、ちがっ、あれは体が勝手に反応してだな…!」
「おやおやー?みんな揃って何してるの?」



今までなかった声を耳に入れ、全員がそちらを向く。
そこには片手を上げ、ひらひらさせている臨也がいた。
相変わらずの人当たりの良さそうな笑顔を貼り付け、軽い足取りで近付いてゆく。
足を止めず静雄を視界に入れると、「へぇー」などと言いながら、全身を眺める。
その視線が煩わしくて、静雄は眉間に皺を寄せた。


「げ、ノミ蟲」
「やぁーん、イザイザ登場とか私いったいどうしたらいいの?!」
「大人しくしてるのが一番いいと思うっすよ」
「やー、新羅から話聞いてさぁ。本当だったんだねぇ、ネコ耳と尻尾」
「新羅後でぶっ潰す」
「てことで。はい、じゃーん、猫じゃらしー。さっきこれで遊んでたでしょ。ほらほら」
「うっ、あっ、また体が勝手に…!や、やめろ、そんなに動かしたらっ…!」
「だから、静雄さん、声。エロいっすよ」


先程の女性陣と同じく、猫じゃらしを懐から取り出す臨也。
少し様子を見ていたのか、先程これにじゃれ付いていたのを見ていたらしい。
ゆらゆら揺らして、静雄が手を伸ばせば素早く避ける。
速いスピードで動くそれを目で追って、狙いを定めて腕を伸ばす。
必死に自分が動かしている物に反応する静雄が面白くて、高笑いをしながら続けていると、何者かが後ろから臨也の腕を掴んだ。
ぴたりと止まった所で、静雄が臨也の猫じゃらしを奪う。
またそれにがじがじとかじりついて、セルティに怒られていた。


「何だよドタチン。邪魔しないでよ」
「見ていたなら知っているだろう。静雄は疲れてんだ。やめてやれ」
「なぁに、ドタチンってばシズちゃんに優しいねぇ。…どういうつもり?」
「どういうつもりもない。静雄が可哀想だから止めただけだ」
「ふぅーん。ドタチンって昔からシズちゃんの心配したりしてさぁ。お母さんみたいだね」
「はぁ?」


臨也の腕を止めたのは、門田のようだ。
自分の楽しみを奪われた事と、静雄に対しての態度が気に入らなかったようで、臨也はやたら門田につっかかる。
喧嘩を売る様に、嫌な表情と言葉で言われれば、門田でも癇に障る。
意味の分からない喧嘩の売り方に、思わずその喧嘩を買うような声を出して、眉を寄せた。



「なぁ、なんかあの二人、喧嘩になってないか?」
「シズにゃんこを巡って男の喧嘩ね。あああああ、萌えるぅぅぅ」
『私は臨静も門静も好きだぞ』
「え、セルっちってば、そっちの話できるの?流石ネットの住人だね!てかシズちゃん受け派なんだ」
『好きな奴は受けにしたくなるだろう?私は静雄が可愛くてしかたない』
「まぁ、可愛いよね、シズちゃん。王道は静臨だけどね」
『私の中での王道が臨静だから、別に構わない』
「やだ、セルっちかっこいー!」
『ちなみに新羅は総攻め派だ』
「な、なぁ、遊馬崎。アイツらは何の話をしてるんだ?」
「気にしなくていいっすよ。宇宙語だと思ってください」
「門田と臨也は止めなくていいのか?」
「あっちも気にしなくていいんじゃないっすか?」


臨也と門田は喧嘩腰でヒートアップしていき、セルティと狩沢は謎の会話でヒートアップ。
どちらも会話の内容がいまいち分からない静雄はおろおろし、遊馬崎はあーあー、と眉を下げて溜め息を漏らした。
いつもはストッパー役である門田が、止める側にいないのだ。
この場にこれらの騒ぎを止める人物はいない。
諦めて静雄と遊馬崎は、しゃがみこんで、猫と戯れる事に専念する事にした。
遊馬崎にとっては、現実逃避、というやつである。
静雄は、もうあちらに興味もないらしく、大人しく猫と触れ合っていた。
そういえば遊馬崎の目は鋭い猫っぽいよなぁ、などとちらちら目の前の顔を眺めながら。




「もー!俺は可愛いシズちゃんをお持ち帰りしたいだけなの!ドタチンは邪魔なの!」
「何を言っているんだお前は!そんな危険な発言をしている奴に友達をほいほい渡せる訳ねぇだろ!」
「俺もドタチンの友達でしょ?!協力しろよ!」
「友達だが、なんかお前は危ないから嫌だ」
「酷い!いいよ、勝手に連れて行くから」
「お、おい!」


会話の途中、喧嘩をしている二人が静雄の方へ顔を向けたと思えば、むすっ、と頬を膨らませて臨也が静雄の方へとツカツカ歩いてきた。
猫と戯れて穏やかな気分になっていた静雄は、そんな臨也を見上げるだけだ。
ただし、眉間に皺を寄せ、強い殺気を放った目ではあったが、殴り掛からない所を見ると、心は割と穏やからしい。
そんな人をも殺しそうな表情の静雄へ、なんの戸惑いもなく近付いていく臨也。
頻繁に向けられているその表情に慣れてしまっているのだろう。
普通のチンピラなどなら逃げ出してしまいそうなその眼で睨まれても、なんの怯みもない。

ぴたり、静雄の前で足を止める。
同じ目線になる様に腰をかがめ、柔らかい耳を指でなぞりながら、臨也は金色の頭を抱いた。
ふわり香るのは、臨也の匂いと、香水と、それから、


「シズちゃん、俺と一緒に家に行こうよ。良い事してあげる」
「はぁ?!何言ってんだ!…この、ノミ蟲にゃろう、ふざけんにゃ、よ…、何で、お前の、家に、」
『し、静雄?!』
「え、え、何があったの?イザイザに甘えたりなんかして!」
「おやおや、シズちゃん。どうしたのかな?俺から良い匂いでもしたー?」


急に力の抜けたように殺気が消え、ふにゃんふにゃんに崩れる静雄。
頭を抱かれたまま、ごろごろと臨也に鼻を擦り付けている。
「シズちゃん可愛いね」なんて言いながら顎の下を擽ってやると、気持ちよさそうに目を閉じ、耳も垂れた。
その様子を見て、臨也がにやりと笑ったのを、遊馬崎のみが見逃さなかった。
と言うよりも、一人しゃがんでいた彼のみ、目に入ってしまった。


「臨也さん顔黒!黒いっす!」
「眉目秀麗に向って失礼な」
「アンタそれ自分で言い過ぎっすよ!なんか価値が下がるっす!てか、またたび使ってるっすね?!」
「ぴんぽーん。良く分かったね」
「いやー、ネコ耳界の王道っすからねぇ」
「って事で運び屋、仕事だよ。シズちゃんふにゃふにゃで動けないから、俺と一緒に運んで」
『よしきた、分かった』
「セルっちずるぅーい!私も行きたぁーい」
「こら狩沢、無理を言うな。押さえておくからさっさと行け」
『ありがとう。狩沢さん、後でメールするよ』


ぎゃーぎゃー騒ぎ立てる狩沢を門田と遊馬崎で取り押さえ、セルティはウキウキとシューターを変形させ、影で二人乗れるように形を変えた。
自分は運転席へと移動し、乗る様に顎で指示すれば、静雄を抱えるようにして、そこへ乗り込んだ。
男二人を乗せるのは流石に重いな、頑張れよシューター。
声には出さず、愛馬を撫でる。
返事である嘶きを聞いて、セルティはない顔で微笑んだ。


「じゃあまたね。ばーいばいっ」


不敵に微笑んで、ぱくりと静雄の耳を食む。
それにピクリと反応するのを楽しそうに見てから、ひらひらと手を振った。
それが合図化のように、黒いバイクは走りだし、早いスピードでその場から姿を消してしまった。
その後何があったかは、臨也と静雄しか知らない。
後日「猫耳ラブ!」と叫ぶ臨也と、「新羅潰す」と唸る静雄が、新羅宅へと別々に押し掛けてきたのは、別の話。




―――


セルティとのお揃いと、ネコ耳をやりたかっただけ。セルティと静雄は池袋の妖精化け物コンビだよね!!可愛い。そして獣耳は王道だよね!一回は書いておきたいと思う獣耳。てか私的にシズちゃんはキツネとか可愛いと思うんだ。金髪出し、金のふさふさでちょっと長い耳と、ふっさふさの尻尾。ひゃぁぁぁぁ絶対可愛いキツネ!ふさふさ尻尾で暖を取ればいいじゃない!!

あとセルティ、勝手に腐女子にしてごめんね。でも楽しかったんだ、本当にごめん。









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